●思考の幅を広げる

 失敗を恐れているとき、私たちの思考の幅は狭まり、特定のシナリオに囚われがちになる。

 夜、外を歩いているとしよう。転倒することを恐れてずっと下を向いて自分の足元を見ていたら、街灯にぶつかってしまう。あるいは、飛行機に乗るのが怖い人。どこへ行くにも車を運転していくが、実際には、そのほうが危険度は大きい。

 絞りを開くと、ありとあらゆる脅威の中で、自分の恐怖を捉えることができるようになる。そうすると、自分が何を最も恐れているのかが見えてくる。

 ほかの悪いシナリオを考えることで失敗の恐怖をやわらげるなど、馬鹿げた考えだと思うかもしれない。しかし、この方法によって、人は強制的に問題解決モードに入り、特定の恐怖に囚われることが少なくなる。

 リーダーは特定の問題を最小化、あるいは最適化することにこだわりすぎて、社員が別のことをもっと気にかけているのだと気づかない場合がある。社員が大切に思っていることも聞き出そう。

 ●余暇を見直す

 人は恐怖に捕らえられる。そして、その恐怖から目を逸らせなくなる。脅威を見過ごさないために、人はそのようにできているのだ。

 なかには、恐怖に対して過覚醒の反応を示す人もいる。常に自分の司令所で見張っていたい人たちだ。この反応は、たとえば夜を徹して仕事をするといった行動に現れる。

 アドレナリンによって誘発されるこの種の行動は、短期的には意味があるとしても、狭量につながりやすい。大局観を持つには、別のアプローチを取ったほうがよい。

 余暇(と睡眠!)は、物事と距離を置き、思考を整理し、盲点に気づき、創造的な発想をするために必要だ。静かな時間を持とう。難しい問題を包括的に考えたい人には、かなり批判されてはいるが、ゴルフをお勧めしたい。

 ●判断力を鈍らせるノイズから離れる

 前述の通り、人は恐怖に駆られているときに、常時オン状態のモニタリングモードに入る可能性がある。

 そうなると、自分以外の人が何をしているかがいつも気になり、常にSNSにつながり、頻繁すぎるほどにデータをチェックしたい衝動に駆られる。その結果、情報過多に陥り、処理しきれずに心がもやもやする、あるいは心を閉ざす。

 自分がそれをやっていると感じたら、意識して過剰なモニタリングやチェックを制限しよう。パニックを起こしたり、取り乱した行動を回避したりしよう。

 失敗への恐怖だけでは、判断力は影響を受けない。間違った言動を招くのは、ストレスや不確実性を悪いものとして、そればかりを過度に心配したときだ。しかし、不安がどのように働くかを知覚レベルで理解すれば、その感情を慎重だが大胆で、理路整然とした選択に活かすことができる。


HBR.org原文:How to Overcome Your Fear of Making Mistakes, June 24, 2020.


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