『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』では毎月、さまざまな特集を実施しています。ここでは、最新号への理解をさらに深めていただけるよう、特集テーマに関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2020年9月号の特集タイトルは「戦略的に未来をマネジメントする方法」である。

 企業が持続的な成長を実現するためには、長期的視野で意思決定を下すことが不可欠である。不確実性がますます高まる昨今、もはや過去の経験に頼ることはできない。また、未来を読み切ることも不可能だ。しかし、起きうる未来を想像して、そこから学ぶことはできる。

 イベント・ホライズン・ストラテジーズ共同創業者兼代表のJ. ピーター・スコブリック氏による「戦略的に未来をマネジメントする方法」では、不確実性がますます高まる環境で優れた意思決定を下す方法を示す。

 人は平時でも目先の問題解決に集中しがちであり、新型コロナウイルス感染症のパンデミックという非常事態が、その傾向に拍車をかけている。未来を完璧に予測することはできないが、それを前提として変化に適応する能力を高めるには、戦略的洞察(strategic foresight)が有効である。

 未来について考えるためのツールは、バックキャスティングやコンティンジェンシープランニングなどさまざまだが、本稿ではシナリオプランニングに焦点を当てる。

 ローランド・ベルガーでシニアパートナーを務める長島聡氏による「未来を創造する経営の実践」では、戦略的に未来を引き寄せる術を明かす。新型コロナウイルス感染症の影響により、企業は中長期戦略の見直しに迫られている。リーダーは未来をどう描いたらよいのだろうか。

 本稿では、超長期戦略の代表格であるシナリオプランニングを発展させた、フォルクスワーゲンのモジュール戦略を、筆者の「先読み、引き寄せ、構え」の3ステップに合わせてひも解く。さらに、コロナ危機のような不確実性が高い現代に求められるのが、企業が社会における存在意義を説いた「パーパス」と、それを活かすための「構想」する力である。

 日本電産会長CEO・永守重信氏と一橋大学大学院客員教授・名和高司による対談「危機の時こそ、リーダーはチャンスを探し、夢を語れ」で永守氏の経営哲学が語られる。リーマンショックなど多くの危機との遭遇を成長のバネにしてきた日本電産は、コロナ危機をも飛躍の機会ととらえる。

 常に生産性向上を追求する経営体質強化策と、10年以上先を見てトップが夢を語り、その実現に向けて挑戦を続ける「遠近複眼経営」により、未来をみずから切り拓き、増大する不確実性に立ち向かう。

 ロンドン・ビジネススクールのゲイリー・ハメル氏らによる「『再起力』の時代」は、DHBR2004年5月号論文の再掲。企業にとって、いま最も必要なのは、状況の変化に応じて、戦略とビジネスモデルを柔軟に再構築する力である。組織のレジリエンスについて書かれた本稿のメッセージは、改めて評価されるべき内容ではないか。

 現実否認から脱して周囲の状況を分析し、取るべき戦略について常に潤沢な選択肢を用意し、ライバルに先んじて資源を再配分すれば、企業は決定的な優位性を確保することができる。これこそ、混迷の時代に求められる再起力(レジリエンス)の本質である。