(1)社員の健康を最優先にする

 社員は、会社が可能な限り社員を最優先に行動してくれると感じて安心したい。現在のような厳しい環境下では、とりわけそうした思いが強い。

 小売り大手のコストコは、現場スタッフに危険手当を支給すると決めた。アップルは、無制限の有給病気休暇制度を導入した。デルタ航空のエド・バスティアンCEOは、6ヵ月間の給料を返上した。これらの企業は、こうした行動を通じて会社の価値観を表現することにより、社員の不安をやわらげている。

 ほとんどの企業は、これまでのところ新型コロナウイルス感染症への対応を社員から高く評価されている。私たちの調査によれば、自社が利益よりも社員の安全を優先させていると感じる人は72%、できる限り社員に配慮していると思っている人は74%。会社が「あるべき対応を取っている」と考える人も72%に達している。

 企業は、職場再開の際も、自社の価値観を大切にする姿勢を貫くべきだ。その点では、シティグループの社長でグローバル・コンシューマー・バンキング部門を統括するジェーン・フレーザーの言葉が参考になる。フレーザーはリンクトインへの投稿で、シティがオフィスの再開に関して何を最優先に考えているかをはっきり述べた。

「シティが未来に向けてオフィス再開の準備をし、新しいオフィスへのニーズを考えるうえで、はっきりしていることが一つあります。私たちは今後も社員と顧客と地域コミュニティの安全を最優先にする、ということです。そのために、市や州や国の指針で求められるよりも慎重に振る舞うこともあるでしょう。
 オフィスの再開については、経験豊富な幹部チームが検討しています。再開に当たっては、正しい知識に基づいて判断し、社員の健康と幸福を最も重視して考えるつもりです」

(2)透明性を持って、正確な情報を迅速に提供する

 社員の不安をマネジメントするためには、CEOやその他の信頼されるリーダーが冷静に情報を発信し続けることが重要だ。たとえば、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、頻繁で透明性のある情報発信により、新型コロナウイルスに関する情報源として大きな信頼を集めるようになった。

 私たちの調査によれば、会社から頻繁に最新の情報を知らされている人は、そうでない人に比べて、勤務先の会社に対して好印象を抱いている。いまの職場で働くことに誇りを感じている人の割合は55%多く、出勤を再開するのが楽しみだという人も43%多かった。

 企業がコロナ禍の経済的影響に対処するうえでは、社員との間で双方向のオープンなコミュニケーションが積み重ねられることが、きわめて重要だ。社員に最新の経営状況を知らせ、常に対話を繰り返している企業は、難しい話し合いも行いやすい。

(3)公衆衛生に関して推奨されている措置をただちに導入する

 私たちの調査によれば、人々は、いつ職場を再開させるべきかに関して、米国疾病対策センター(CDC)や、トランプ政権の新型コロナウイルス対策チームを率いるアンソニー・ファウチ博士などの公衆衛生専門家の言葉を信じている。勤務先の会社が安全を宣言するだけで職場の再開を安全と感じられるという人は、10人に1人に満たない。

 社員が望む感染予防措置の上位5つは、CDCなどの専門家が推奨する対策と一致している。社員が望んでいるのは、以下のような対策だ。

・職場の清掃と消毒の徹底(55%)
・体調の悪い社員への自宅待機推奨と病気休暇制度の柔軟な運用(52%)
・個人単位の衛生対策の推進(40%)
・個人防護具の配布(33%)
・出勤再開前の全社員のスクリーニング(31%) 

 社員は、こうした措置の実施方法、実施時期、実施状況の監視と徹底の方法を知りたいと感じる。また、状況の変化に応じて具体的な手順やプロセスが適切に修正されていくとわかれば、安心できる。