誤解(1):助けを求めると印象が悪くなる

 人はよく、職場で助けを求めると、自分の無能さや弱さを露呈するようで不安になる。それに加えて、危機においては、波風立てずに大人しくしているほうが安全だと考えがちだ。しかし、そうした心配はほとんど根拠のないものであることが、調査によって明らかにされている。

 ある調査では、簡単な仕事で助けを求めた人の能力に対する周囲の評価に悪影響はなかった。それどころか同じ調査で、難しい仕事で助けを求めた人の能力に対する周囲の評価は上昇した。すなわち、助けを求めることで印象が悪くなるというのは誤解であるばかりか、場合によっては、助けを求めると依頼者の株を上げることもある。

 助けを求めると、弱さや能力の限界を露呈する可能性があるのは事実だ。しかし、人としての不完全さを見せたからといってネガティブな判断を下される可能性は、自分が思っているよりも低い。

 誤解(2):助けを求めても、きっと断られる

 助けを求めることを控えてしまうもう一つの理由は、断られることへの恐怖だ。

 この心配も、いまの危機によって増大する可能性がある。誰もがすでに、自分のことで手一杯だろうと思うからだ。だが、この点についても、人は思っている以上に喜んで手を差し伸べてくれて、助けるために意外なほど労力を惜しまないことを調査が示している。

 ある調査で、完了させるとボーナスを獲得できる簡単なタスクに対して、何人の人が手伝ってくれるか、そして各人がそのためにどれだけの労力を割いてくれるか(この場合はいくつの質問に答えるか)を参加者に予想させたところ、その両方を過小評価した。別の調査でも、参加者は「元同僚がどれだけの労力を割いて、自分のために推薦状を書いてくれるか」を過小評価した。

 これらの結果はいずれも、自分が想像する以上に人が助けに応じてくれる可能性が高いことだけでなく、要求に応じてくれた場合、自分の予想に反して期待を上回る力を貸してくれる傾向があることを意味している。

 誤解(3):助けてくれたとしても、喜んでそうしているわけではない

 助けを求めたら相手に負担をかけてしまう、すなわち無駄な労力を使わせて、迷惑をかけてしまう。そんなことばかりを気にして、サポートしてくれる同僚の側にもメリットがあることを見過ごしがちだ。

 調査によれば、「ウォーム・グロー(warm glow)」とも呼ばれる、人助けをしたときに抱く満足感や誇らしさは、落ち込み気味な人に活力を与えて、他者を助けるという行為がウェルビーイングにもつながる。つまり、いますぐ誰かを助ける機会があるならば、それが気分を上げてくれるかもしれないのだ。

 誰かに助けを求めることは、力を借りる側と貸す側の両方にもう一つ別のメリットがある。それは、人とつながっているという実感だ。物理的な距離は離れていても、サポートを求めることで人との関係を維持し、強固にすることもできる。

 調査によれば、人助けが感情に与える好影響は、それが人とのつながりをはぐくむときにさらに増加する。特定の個人を支援するほうが個人的なつながりを伴うため、慈善団体に寄付するよりも感情的な満足度が高い場合がある。

 人を頼って断られたとしても、心配する必要はない。「ノー」と言われたことに対して、自分自身のネガティブな部分か、自分の頼みごとか、あるいは相手の親切度と結びつけて解釈する。だが多くの場合、「ノー」は状況の産物だ。危機の際には、特にそうなりやすい。時間を変えて頼むか、別の人に頼めば、いずれ求めているものが手に入る可能性が高いことが調査で示されている。

 いまこそ、もっと気楽に人に助けを求め、手を借りるべきときだ。自分が考えるよりも悪く取られる可能性は低く、人に(喜んで)助けてもらえる可能性が高いことを、十分なエビデンスが示している。


HBR.org原文:3 Myths That Stop People from Asking for Help at Work, June 08, 2020.


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