●効果的なリーダーシップ:タフであるために、まずソフトになる

 皮肉なことに、精神的な強さの前兆は、感情的な弱さである。安全な空間で感情的な事柄を思慮深く共有することは、グループの結束力と、イノベーションと、パフォーマンスに大きな変化をもたらす。その大きな理由は、まだ掘り下げていないアイデアに触れることができるからだ。

 ただし、同僚に感情的な事柄を提供するリスクを、脳は軽視しない。したがって、チームの結束力を向上させられるかどうかは、リーダーが最初に行動を起こす勇気にかかっている。

 チームの中で最も上位にいる人から率先して、自分の仕事での苦悩や、それによる感情的な経験について洞察を共有する。そうすることによってチームのつながりが深まり、ひいてはアジリティが高まる。

 新型コロナウイルスから学ぶ教訓の中で、おそらく最も力強いものは、私たちの(生物学的、経済的、社会的、知的な)相互接続性の素晴らしさを改めて理解することだろう。

 隔離された私たちは、何よりも、互いの存在を恋しがっている。ある業界のエグゼクティブは最近、筆者にこう言った。「自分が同僚にこんなことを言う日が来るなんて、考えたこともなかった──『会いたい』と」

 神経心理学者の視点からは、意外なことではない。最も革新的な研究によると、ヒトの種としての競争優位性は、脳の社会化の並外れた能力にあるという。私たちが話す言葉や構築するコミュニティなど、私たちの成功は、社会化の能力に完全に依存している。

 不安を抱えながらオフィスに戻るにせよ、もうしばらく自宅で孤独に過ごすにせよ、チームと深い感情的なつながりを築くことが不可欠だ。このような時期に自分自身や自分の弱さを共有することは、気分がよくなるだけでなく、実用的にも行うべきことだ。

 リーダーはいち早く、より深い結びつきを求め、より広く自分をさらけ出すことを試みる。その際は常に、自身の不器用さを意識するが、この不器用さは歓迎すべきことだ。

 現在は個人と仕事の間に境界線がないに等しく、チームのメンバーの日常生活の複雑さが、仕事の本質に影響を与える戦術的な問題になっている。従来は仕事にとってやっかいだとされてきた問題についても、適切なコミュニケーションを取る必要が出てきた。

 歴史的に避けてきた問題にアプローチすることによってのみ、私たちが求めてきたレジリエンスを見出すことができる。これは不安に関する研究で学んだ、最も重要な教訓と言えるだろう。

 変化に伴う避けられない戸惑いを、間違った道を歩んでいる徴候だと解釈してはならない。その反対だ。この不安は生産的な成長の証であり、実質的な変化を起こすために正しい道を歩んでいることを教えている。

 今回の危機がもたらす、変革のための豊かな機会を無駄にすることは、脳にとっても、ビジネスにとっても、悪い影響を及ぼす。


HBR.org原文:Feeling Uncomfortable with Reentry? You're on the Right Track., June 09, 2020.


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