●居心地の悪さを受け入れる

 もう一つ、黒人従業員からよく聞かれたのは、経営陣が声明を出しても、自分の直属のマネジャーには、そのメッセージを実行に移す能力がないという問題だ。マネジャーたちは話し方がぎこちなくて、やたらと言葉につまり、場合によっては、この話題を完全に避けようとするというのだ。

 米国の社会構造では、白人は人種や人種差別について話すことに慣れておらず、居心地が悪く感じがちだ。何らかのイニシアティブを率いることなど、到底考えられない。

 こうした居心地の悪さゆえに、変化が起きにくくなる事態を防ぐために、マネジャーは人種と人種差別について考えたり、話したりするのを助ける研修を実施するのもいいだろう。それも自分と異なる人種だけでなく、自分の人種にまつわる経験も扱うといい。

 持続的な変化を可能にするためには全管理職、とりわけ白人管理職が、居心地の悪さを受け止めて、前進しなければならない。

 ●説明責任を負う

 あなたの会社が人種差別に反対する姿勢を示した場合、あなたはその進捗を測定する方法を明確にして、その結果を会社全体に報告しなければならない。さもないと、信頼できない不誠実な人間と見られてしまうだろう。

 輝かしい成果や迅速な変化が見られなくても、恥ずかしいと感じたり、罪悪感を覚えたりする必要はない。何年もかけて根を張ってきたものは、一夜にして一掃することはできないのだ。

 新規顧客や隠れた成長可能性を見出したときのように、集中して努力しよう。筋力トレーニングがよい例だ。ジムに行って、ベンチプレスを1度しただけでは、強くなったとは言えない。

 おそらく専門家の手引きが必要だろう。そして、一定期間にわたりコンスタントにベンチプレスをやることを自分に課して、それを実行したときに初めて結果を出せる。怠けることはいつでもできるが、それは長期的には、恩恵を得るのを難しくするだけだ。

 人種差別を根絶する能力をつけるのにも、同じように長期にわたる決意と努力が必要であり、それは必ずしも快適とは言えない。だが、その結果として得られる、より強い会社は、こうした努力をする価値があるものだ。

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 1964年公民権法第7編は、人種や肌の色、宗教、性別、出身国に基づく従業員差別を禁じているが、その素晴らしい部分の一つは、差別の判断基準が、雇用主の「意図」から従業員における「インパクト」に移ったことだ。つまり、差別による被害が生じるのは、組織側の人間の内心に憎悪の意図があったことが立証された場合に限られるという考え方は、間違いであることが明確にされた。

 そうではなく差別による被害は、人々へのインパクトを見ることで最もよく把握できるという事実が、この法律で明らかにされた。このインパクトは、個人の差別的行動だけでなく、システム、一連の規範、そして企業による暴力につながるポリシーとしての人種差別によって引き起こされる。

 この努力をリードする企業は現在、私たちが非難している人種差別が何世紀も続いてきたという現実と戦っている。そして、はっきりとした態度を取るのに、なぜこんなにも長い時間がかかったのかと考えあぐねている。

 もっと前に明確な態度を示していれば、ジョージ・フロイドやブリオナ・テイラーをはじめと、あまりにも多くの人の命は失われずに済んだではないかと考えている。そして、いま自分たちが反対の姿勢をとっている人種差別が、自社内で複製され、円滑化されている事実を反省している。

 その作業は、いまだけでなく恒久的な変化を生み出すために、私たちがよく耳を傾け、独創的かつ具体的に考え、きちんと行動を起こす必要があることを教えてくれる。


HBR.org原文:Is Your Company Actually Fighting Racism, or Just Talking About It? June 11, 2020.


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