バーチャル交渉の進行

(1)最初に場を温める

 会議開始の数分を雑談に充てると、協調的な姿勢が生まれる。マイケル・モリスのグループによる調査によれば、メールでの交渉の際、事前に電話で数分間、世間話をするように指示された被験者のほうが、すぐに交渉を始めた被験者よりも大きな経済的、社会的成果を上げた。

 別の実験では、交渉をユーモアで始めることが、経済的成果と当事者間の好感度の向上につながった。人と直接会えないストレスの多い状況では特に、個人的なつながりが、その後の展開に効果的に影響する可能性がある。

(2)制約条件と前提条件を明確にする

 ビデオ会議や電話会議は、出席者が別々のタイミングで参加するなど、ぎこちなく始まることも多い。時間を確保して雑談をした後は、会議の目的と予定時間をざっと確認する。主要な当事者が中座することがわかった場合などには、必要に応じて会議開始時にアジェンダを調整する。

(3)欧米人はセルフビューを非表示にすべきか

 米国人をはじめ個人主義の文化に育った人は、ビデオ会議中に自分の姿が見えると自意識や自己批判が高まる傾向があることが、エビデンスによって示されている。このような傾向のある人は特に、ビデオ会議中のセルフビューを非表示にしたほうがよいかもしれない。

 対面に代わるリッチな交渉環境はない。しかし、ストレスの多いソーシャル・ディスタンシングの期間を乗り切るには、デジタル通信ツールやメディアを活用することが、交渉を効率的に進め、人とのつながりを維持するうえで役に立つことを覚えておいて損はないだろう。そのためには、その活用法を正しく理解することが必要だ。


HBR.org原文:How to Negotiate - Virtually, June 10, 2020.


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