(3)複雑さによる不確実性

 複雑さによる不確実性とは、問題の専門性が高く、複雑で理解が難しい状況のことだ。

 たとえば、統計の専門家以外にとっては、「曲線を平坦にする」とはどういうことなのか、なぜそれが重要な意味を持つのかを理解することは難しいかもしれない。資源の制約、地域による違い、経済への配慮など、さまざまな要素のバランスをどのように取るべきかも理解しづらいだろう。

 米国で3月にロックダウンが1週間遅れたせいで3万6000人の命が失われたというのは、本当なのか。それぞれの州や郡は、どのように経済活動の再開を決めているのか。その際、経済と人命のバランスをどのように取っているのか。

 認知面での対策としては、複雑な情報をそのまま理解しようとするのではなく、その分野に精通している専門家の見解を参照して、わかりやすくするとよい。その際、党派意識ではなく、科学的知見に基づいて発言する専門家を選ぶことを忘れてはならない。

 また、情報を求めるのが有益な状況と、そうでない状況を見極めることも重要だ。もしかすると、いま必要なのは、さまざまな疫学的モデルの詳細を知ることではなく、安全を保つためにどのような行動を取ればよいかがわかれば十分なのかもしれない。シンプルに、(たとえば、外出時はマスクを着用すべし、といった具合に)日々の行動の指針を求めるようにしよう。

 この種の不確実性に精神を押しつぶされそうに感じる場合は、情緒面での対策が有効だ。具体的には、複雑な状況から逃避すればよい。たとえば、お気に入りのテレビ番組を見直したり、編み物をしたり、クロゼットを整理したりしよう。

 可能であれば、ほかの人たちがストレスを感じずに済む世界をつくるために尽力することにより、みずからのストレスを緩和する方法もある。地域のフードバンクに寄付したり、地元の小規模事業者を支援したりしてもよいだろう。刑務所内での感染拡大から服役者を救うために、保釈金をカンパして保釈を促進しようという取り組みもある。

 以上の対策を講じることで不確実性を軽減できれば、ほかの重要な問題と向き合うための精神的なゆとりも生まれる。厳しい試練に直面しているときは、あらゆる機会を利用して精神をリラックスさせ、瞑想を行うことがなによりも重要だ。


HBR.org原文:When More Information Leads to More Uncertainty, June 09, 2020.


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