時代を象徴する出来事が世代を形づくる

 ピュー・リサーチセンターが指摘しているように、世界的な事件など時代を形づくる経験を、世代というレンズを通して見ると、人々の世界観が形成される過程が浮かび上がる。

 世界恐慌下で育ち、第2次世界大戦で国を守り支えた若者は、「最も偉大な世代」と呼ばれた。極めて困難な時代のトラウマを乗り越えたこの世代は、米国の理想に畏敬の念を抱くという愛国心、政府の英知に対する信頼、つましい希望が生んだ倹約精神を共有していた。

 ミレニアル世代にとって、9.11の恐怖と2007年に始まった世界的な経済危機は、人生を変える悲惨な出来事だった。授業中に飛行機が高層ビルに突っ込んだらしいというニュースが広まり、普段なら「大丈夫だよ」と安心させてくれる教師や家族や友人も、怯えるばかりだった。その後の混乱は、ミレニアル世代の未来の試金石となり、世界と交流する際は常にテロ攻撃の可能性を意識することになった。

 ミレニアル世代が社会に出て働き始めた頃、経済が崩壊した。採用は取り消され、フルタイムの仕事は福利厚生なしのパートタイムになり、多くの新入社員がいち早く解雇された。

 不義理な世代という不当な評価をされた彼らが、頻繁に転職せざるを得なかったのは、最低限の生活費を稼いで学生ローンを返済するためだった。これらの経験が相まって、世界に秩序を求め仕事に意味を求めるというミレニアル世代の特徴を育てた。

 今日、新型コロナウイルスはあらゆる年齢層に容赦はしない。ただし、青年期にあるZ世代への長期的な影響はとりわけ深刻になりそうだ。

 今後の人生を通じて、世界が停止した時間は集団的な記憶に刻み込まれる。彼らの世代を決定づける瞬間は、不確かな未来に対する深い不安を植えつけた。

 Z世代は、日常的な交流を一夜にして奪われた。自分を鍛えてくれた教師、指導してくれたコーチ、充実したクラブ活動、青春の厳しい試練を支えてくれた友人たち。

 さらに、プロムや演劇、スポーツ、卒業式などのマイルストーンは、社会的および情緒的な発達にとって非常に重要で、それぞれの経験が人生の次のステージへの通過儀礼になる。思春期を象徴するライフサイクルの節目を、彼らは不安とともに待ち望み、興奮とともに共有してきたが、それも一瞬で消えてしまった。

Z世代を支えるために企業にできること

 この経験がZ世代に与える影響をすべて定量化するには、十分なデータが蓄積されるまでに年単位の時間がかかるだろう。それまでは既存の研究をもとに、Z世代を現在だけでなく将来にわたってマネジメントする最善の方法を学ぶことができる。

 その出発点として、スキル開発、ストレスマネジメント、心の知能指数(EQ)の3つの分野を考えていこう。