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新型コロナウイルス感染症の拡大で雇用が失われる一方で、医療やテクノロジー分野を中心に、キャリアを中断した人たちを再雇用する動きが加速している。優れた能力を持ちながら、親の介護や子育てなどを理由に職場を離れた人たちを呼び戻しているのだ。これは実績も経験も豊富な人材を獲得するチャンスであり、コロナ危機を契機に、職場復帰制度を整備すべきだと筆者は主張する。


 新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の拡大で多くの雇用が失われている中、正反対の動きが存在する。医療分野とテクノロジー分野では、引退したか、キャリアを中断している人材に対する需要が緊急に高まっているのだ。

 実際、久しぶりに職場復帰した医師や看護師は、貴重な戦力となっている。また、「古代の」プログラミング言語といっていいCOBOL(コボル)に精通した技術者も、社会の役に立っている。多くの州では、いまも失業保険申請の処理にCOBOLが使われているからだ。

 おかげで、こうした分野での「再就職」が注目を浴びている。実際、再就職組はこれまでになく歓迎されており、手を上げさえすれば、すぐに職場復帰がかなう状況にある。

 これまでは、一度引退した人やキャリアを中断した人は、即戦力として懐疑的な目で見られることが多かった。「もうスキルが衰えているのではないか」とか「彼らのスキルは時代遅れなのではないか」、あるいは「採用職種に対してスキルが高すぎるのではないか」というのだ。「スキルアップに時間がかかりそう」「一度辞めたくらいだから、あまりやる気がないのではないか」「年を取りすぎている」といった懸念も聞かれた。

 だが、コロナ禍でこうした懸念は吹き飛んだ。その業界に関する知識や学歴、実際に仕事をしてきた経験、成熟した視点、献身、忠誠、そして職場復帰への情熱など、キャリア中断組のプラス面が見直されているのだ。彼らが人生の安定した段階にあることも、強みの一つになっている。

 各州は、看護師の免許更新を迅速化したり、別の州の免許保持者でも勤務可能にしたり、簡単なスキルアップ・プログラムを提供してきた。米国だけではない。「一度看護師になったなら、永遠に看護師である――コロナ禍の英国で元医療従事者2万人が職場復帰」というニュースもあった。

 テクノロジー業界では、数十年を経たプログラミング言語であるCOBOLの知識を持つプログラマーが呼び戻されている。2000年問題のときや、リーマンショック後の大不況で失業者が急増したときも、同じようなことがあった。大規模なメインフレーム(汎用型コンピュータ)の基本システムは、新たに書き加えられてきたコードの根底にCOBOLが埋もれていることが多いからだ。