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新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務を続ける中、通勤などの無駄な移動時間がなくなった一方で、休む時間もなくなってはいないだろうか。朝から晩まで会議を詰め込まれて、休日もPCに向かう人が増えている。だが、仕事の生産性を上げるために休暇は不可欠であり、こういう状況だからこそ、マネジャーは休暇の取得を積極的に促す必要がある。本稿では、そのために有効な6つのアプローチを紹介する。


「私の足は高速で動いているのに、全然進まない」

 クライアントの一人が最近、そう悩みを打ち明けた。ほぼ自己隔離状態で働いていることそのものへの不満というより、いつも通り猛スピードで仕事をしているにもかかわらず、生産性が上がらないことが気に入らないのだ。

 実際、私のクライアントには、新型コロナ危機初期の興奮状態が収まると、自分もチームも働きづめで、使いものにならなくなるほど消耗していると感じている人が少なくない。仕事に対する要求は高まる一方で、通勤にかけていた時間帯にまで会議が侵食し、朝早くや夕食後から(遅すぎる)就寝までの時間にも会議が設定されるようになった。

 在宅勤務に伴ってなくなったのは、通勤時間だけではない。休暇もなくなってしまった。そもそも行ける場所がないうえ、これまでとは異なる生活様式に慣れるのに精一杯だと感じる人々は、旅行の予約を取り消すときに、休みを取る予定まで取り消している。

 こうして勤務時間が急増している半面、集中して質の高い仕事をこなす能力は急低下している。私は企業幹部やマネジャー、HR部門のパートナーといったクライアントから、どうすれば仕事から完全に離れて充電できるのか、どうすれば部下にも同じように休むよう勧められるのかと助言を求められることが多くなった。

 企業が提供しているウェルネス・プログラムは多種多様で、休みに関する各社の方針も異なる。「信用しているから、必要だと感じる分だけ、休みはきちんと取ってください」から「割り当てられた休暇を使ってください」から「いまはプレゼン資料づくりでみんなの手が必要だから、休みのことはあとで考えましょう」まで、温度差もある。

 従業員の生産性経済にとって、休暇が有益であることが研究でわかっている。現在、従業員の生産性も経済も危機にさらされている。休暇を取らないことで、米国企業は年間2240億ドルを失っているのだ。

 マネジャーが自分自身とチームメンバーの生産性低下について、見て見ぬふりをしていることに気づいた私は、クライアントにアンケート調査を行い、全米のスタートアップやフォーチュン30企業、大学関係者など20人から回答を受け取った。

 このアンケート調査の結果とコーチングを通したクライアントとの個別の会話から、休暇への正しいアプローチ法が浮かび上がった。かつてない数の人々が在宅勤務しているいま、マネジャーに向けた6つの戦略を紹介しよう。