女性営業部員の数を増やすには

 コロナ後の景気回復期に企業が営業を成功させられるかどうかは、どのくらい女性営業部員を獲得し、つなぎとめられるかにかかっている場合が多い。特に伝統的に男性優位の性格が強い業種では、男子校ノリの営業観をなくして、女性が働きやすい文化を築く必要があるかもしれない。

 営業チームが女性スタッフを増やすのを助けることを目的としたプログラムも存在する。筆者たちのZSアソシエイツでも、そのようなプログラムを利用して、より多くの女性営業部員を獲得・保持できるようになった。

 ●ダイバーシティ重視の採用

 多くの企業は、営業職の採用活動において、ジェンダーのダイバーシティ(多様性)を確保することを明確な目標に位置づけている。候補者へのアプローチ、選考、採用に関して、具体的な達成目標を設けている場合も少なくない。たとえば、女性営業専門職の団体に接触するなどして、女性求職者との接点を求めている企業もある。

 求人における職務内容の描写に配慮して、女性求職者を引きつけやすいものにしている企業も多い。「積極果敢」だの「競争」だのといったマッチョな言葉遣いをやめにして、「顧客中心主義」や「成功」といった、ジェンダーの面で中立的な表現に差し替えているのだ。営業部員の仕事として、顧客の接待より、顧客の問題を解決する役割を強調するのも、そうした配慮の一種と言えるだろう。

 加えて、採用面接で女性の面接員を増やしている企業もある。それにより、候補者の資質について多様な判断基準を取り入れると同時に、女性が働きやすい文化を強化することで、女性求職者を引きつけようとしているのだ。

 ●女性向けのメンター制度

 ある金融サービス企業は、男性優位の営業組織で女性のコミュニティを育てるために、一人ひとりの新人の女性営業部員に、営業部内の女性メンターを割り振った。女性メンターは、新人女性が仕事に慣れるのを助け、男性の同僚には話しづらい問題(単身での出張、男性顧客との会食、育児休業など)について質問に答えた。

 この会社では、女性営業部員たちが集まり、自分たちが困っている問題と、その問題の解決策を自由に話し合えるように、「ランチ・アンド・ラーン」と銘打った昼食会も開催した。このような機会を通じて、同社の女性営業部員たちは、社内でお手本にしたい女性や、本音で語り合える女性たちとの関係を深めることができた。

 ●コーチングの改善

 女性営業部員に対するコーチング、とりわけ男性メンターによるコーチングの質を高めるための対策を講じている企業も多い。具体的には、男女間のメンターシップでしばしば見られる問題点を解消し、女性社員も男性の同僚と同じように客観的なフィードバックを得られるようにすべきだ。

 ●女性の昇進

 冒頭で紹介したエグザクトリーの調査によれば、女性がリーダーを務める営業チームは、メンバーの男女比がほぼ半々なのに対し、男性がリーダーの営業チームは、メンバーの4分の3以上が男性だった。この点を考慮すると、リーダーやマネジャーに昇進する女性が増えれば、明らかに女性営業部員を増やす効果がありそうだ。

 では、女性リーダーを増やすためにはどうすべきなのか。そのためには、女性が手ごわい課題に挑む機会を確保し、マネジャーとしての資質を実証したり、マネジメントのスキルを高めたりするチャンスを提供すればよい。

 営業チームにおけるジェンダーのダイバーシティを確保することは、社会正義だけの問題ではない。今日の世界では、それは成果の向上にもつながる。

 本稿で紹介した方法論は問題解決の出発点になるが、やるべきことはもっと多い。重要な課題の一つは、ある思い込みを解消することだ。

 その思い込みとは、営業に携わる人はリスクへの抵抗感が小さくなくてはならない、というものである。拒絶されたり、収入が不安定だったりすることを許容できなくてはならない、というわけだ。こうした固定観念が変わらなければ、一部の女性は営業職でのキャリアを追求することにしり込みし続ける。

 営業部員に対して顧客が抱く期待の中身が変わりつつある中で、今後、企業の営業部門が成果を挙げるためには、多くの女性営業部員を確保することがいっそう重要になる。


HBR.org原文:Why Women Are the Future of B2B Sales, May 28, 2020.


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