『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』では毎月、さまざまな特集を実施しています。ここでは、最新号への理解をさらに深めていただけるよう、特集テーマに関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2020年8月号の特集テーマは「気候変動」である。

 気候変動は経済活動や人々の暮らしに負の影響を及ぼす重大な危機ですが、企業が積極的にこの課題解決に取り組むことで、長期的に大きな価値を生み出す機会に変えることもできる。持続可能性の高い事業を展開したり、問題解決に直結するイノベーションを推進したりすることは、顧客・人材・資金の獲得につながるのだ。

 ウィンストン・エコ・ストラテジーズ創設者であり、『グリーン・トゥ・ゴールド』の著者としても知られるアンドリュー・ウィンストン氏による「気候変動をイノベーションの機会に変える」では、気候変動対策および持続可能性を高める具体的な施策について、体系的に解説する。

 この人類共通の問題に対処するため、企業にはあらゆる資産を総動員する行動が求められる。対策が事業運営に組み込まれることで、ステークホルダーとの関係が強固になり、コストが低減でき、既存のビジネスや製品の本質を問い直すイノベーションにつながると論じる。

 エール大学林学・環境学大学院の気候変動コミュニケーションプログラム責任者を務めるアンソニー・ライザロウィッツ氏へのインタビュー「米国人は気候変動の問題をどうとらえているか」では、米国の実態が語られる。

 米国では折に触れて、地球温暖化をはじめとする気候変動の問題がクローズアップされてきた。では、米国人の興味関心は、どのように推移しているのか。

 ライザロウィッツ博士は、気候変動問題に対して米国人がどのように反応しているかを長年にわたり研究してきた。それはすなわち、顧客や従業員の態度や行動の変化でもある。この研究から、ビジネスリーダーは価値あるインサイトを得ることができる。

 国連グローバル・コンパクト シニアアドバイザーのローラ・パルメイロ氏による「CFOこそ気候変動問題を解決する切り札である」では、CFOならではの気候変動対策に果たす役割と、企業におけるその重要性について4つのポイントから述べる。

 気候変動に関する戦略策定は、企業のリーダー、それこそCEOだけの役割なのだろうか。筆者らは、それに対してCFOのリーダーシップこそ重要だと指摘する。実際、マイクロソフトなどの企業では、企業の財務・会計を統括するCFOが主体的になることで新たな制度の構築が進み、直接的な企業の利益につながり始めている。

 テラサイクル創業者兼CEOのトム・ザッキー氏へのインタビュー「廃棄物削減には業界を超えた協働が欠かせない」では、消費者や事業者、そして政府などの多様なプレーヤーを巻き込まなければ実現できない廃棄物削減におけるポイントが語られる。

 廃棄物削減において世界的に注目されている起業家がいる。かねてよりリサイクルサービスを提供し、近年はプラスチック包装材を用いない循環型の仕組みをつくり、世界的な消費財メーカーや小売業者らがそこに参加している。

 国立環境研究所の生物・生態系環境研究センターで生態リスク評価・対策研究室室長を務める五箇公一氏による「人類の進歩が招いた人類の危機」では、「コロナ感染症の危機」「気候変動の危機」「生物多様性の危機」という、人類の存続を脅かす3つの危機の根本要因を明らかにして、その解決の方向性を提示する。

 新型コロナウイルス感染症が世界を襲い、人々を不安に陥れている。不確実性の最たる現象といえるが、実は以前からこのリスクを予測してきた研究者がいる。その一人が、ヒアリなど外来生物の研究で知られる五箇公一氏だ。

 建築家の隈研吾氏へのインタビュー「いまこそ、地球のOSを書き換えよ」で隈氏は、建築とは人の暮らしや働き方をデザインするOSであり、自然と共生できるようにそのOSを書き換えるべきだと主張する。

 隈氏は、コンクリートの大箱を乱立して、地球環境に多大な負荷をかける建築のあり方に疑問を呈し、それは人間を不幸にすると警鐘を鳴らしてきた。悪化の一途をたどる地球温暖化、そして新型コロナウイルス感染症の流行という新たな自然の脅威に直面するいま、建築に何ができるのか。