社会レベルでは、地域社会をサポートする

「企業は、黒人など非白人コミュニティに対するサポートを明確にすべきだ」という声が、これまでになく大きくなっている。かねてから企業の社会的責任(CSR)は、多くの企業にとって戦略的な差別化要因と考えられており、ブランドの評判を高めるとともに、従業員の目的意識や士気も高めてきた。そのチャンスは十分にある。

 ●寄付先を経済危機でダメージを受けた地元組織に変更する

 セールスフォース・ドットコムやベライゾン・コミュニケーションズ、フェイスブックなどの企業は、スモールビジネス向けの緊急救援基金の設置を発表する一方で、マイノリティが経営するスモールビジネスの救済活動も開始した。

 今回のパンデミックで自宅待機命令が発令される前から、アジア系が経営するスモールビジネスや、全米のチャイナタウンの店舗は、客足が激減していた。非白人ビジネスオーナーは、依然として金融機関から偏見をもたれているため、制度的差別を受けやすい個人に直接資金を提供する努力が、これまで以上に必要とされている。

 たとえ、あなたに会社の寄付先に影響を与える立場や権限がなくても、ボランティアや寄付の対象となる地元組織のリストをシェアしたり、会社に寄付のマッチングを促したりすることによって、違いを生むことはできる。

 ●最弱者を支援する法的措置と政策の整備を促すアクションを検討する

 ビジネスリーダーが、重要な社会問題や文化問題について態度を明確にすることへの期待が高まっている

 2017年にバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者が集会を開いたとき、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のティム・ライアン会長は、これを非難するメッセージを書いた。セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、反LGBTQ法案を非難する声明を出した。それ以外にも政府や社会レベルのサポートが必要な社会的変革を加速するために、有名企業のリーダーが声明を出すことがある。

 新型コロナウイルス感染症が、黒人をはじめとする非白人従業員の生命に与える影響を考えると、現代社会の最弱者に恩恵をもたらすセーフティーネットを構築することについて、ビジネスリーダーは大胆な姿勢を示すチャンスだ。たとえば、失業手当や、スモールビジネスの救済プログラムの拡充を求めたり、警察活動の説明責任を求めたりする活動ができるだろう。

 今回のパンデミックでは共感や思いやり、そして社会的意識に基づく、勇気あるリーダーシップが求められている。いまこそ、企業の価値観の高潔性を確認して、「仕事に全身全霊を傾ける」べきときである。

 非白人従業員の経験は、組織がこの歴史的な事件に対処するうえでの特殊領域でも、副次的な課題でもない。非白人従業員やコミュニティを中心に据えて、活気づけることは、組織の今後何世代にもわたる足跡を定義することになるだろう。それは、これまでもずっと重要だったけれど、いまは、これまでになく緊急に必要とされている。


HBR.org原文:How U.S. Companies Can Support Employees of Color Through the Pandemic, May 22, 2020.


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