リーダーに行動を求める圧力は高まるばかりだ。従業員と顧客は、会社の発言だけでなく行動にますます注目している。

 たとえばトヨタ自動車は、環境面で発揮したリーダーシップが長らく評価されてきたが、積極的な自動車の排ガス規制を設けようとしたカルフォルニア州に反発したドナルド・トランプ大統領側についたことで、激しく非難された。企業のブランドと政治戦略のあいだの矛盾は、活動家だけでなく、ステークホルダーからも非難の的になっている。

 制度的な人種差別に対処する唯一の方法は、システムを変えることだ。

 しかし、警察に対するボディーカメラの装着義務化や、容疑者の首を圧迫するチョークホールドの禁止、「キャンペーン・ゼロ」「8キャントウェイト」などの組織、民主党の警察改革法案が提唱するその他の具体的な改革を支持し、システムを変える努力をするCEOが、どれだけいるだろう。

 支持を表明する論説やツイートを書くのか、それとも政治支出によって警察改革法案を通過させるよう議員らに圧力をかけるのだろうか。

 企業はこれまでも、知的財産法の改正から税制改革にいたるまで、組織の利益になると考える政策を支持するために、政府のあらゆるレベルに莫大な金額を投じてきた。

 問題は、警察の暴力を終わらせる運動の成功に対して、直接的に経済的な利害関係を持つ企業がほとんどないことだ。より包摂的で公正な社会は長期的な経済成長を促すものの、警察改革の実現によって企業の今年の利益が左右されることはないだろう。

 警察改革と制度的な人種差別との闘いを企業に優先させる唯一の方法は、従業員、顧客、投資家がそれを要求し、企業にその責任を負わせることだ。

 CEOは、自社の文化を変え、制度的な人種差別を明らかにして対処する革新的な製品を提供することができるが、持続的な変化には政治制度が不可欠だ。人種差別の根絶と司法制度の改革に真剣に取り組むCEOは、それをコミュニケーション戦略だけでなく、政治戦略においても優先させる必要がある。

 そうした主張をしなければ、人種差別に敏感なCEOでさえ、活動家の標的になる恐れがある。最も熱心に声を上げる人の中には、おそらく自社の従業員も含まれるのだから。


HBR.org原文:What CEOs Still Haven't Said About Race and Policing, June 18, 2020.


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