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米国では黒人差別への抗議デモが過熱している。政治的な問題に関して企業トップに行動を求める声は強く、LGBTQの権利や気候変動などに対しては、多くのCEOが立場を表面してきた。だが、人種差別問題や警察改革に声を上げるCEOはあまりに少ない。このまま何もしなければ、活動家だけでなく、従業員、顧客、投資家の非難の標的になる可能性もある。


 この2週間ほどに多くの企業のCEOが、米国における人種と警察の不正行為について、みずからの考えを発信している。対立を生みかねない政治的な問題に関して意見を述べる企業のリーダーは、ほんの数年前までは特別な存在だったが、いまはそれが求められている。

 政治的な問題に対しては従業員や顧客からも怒りが上がっており、企業のトップはLGBTQの権利から銃規制、気候変動に至るまで、さまざまな話題について立場を表明している。この現象を私たちは「CEOアクティビズム」と呼ぶ。

 だが、CEOたちは企業価値と個人の価値に焦点を置き、警察改革のための政策的な解決策を提言していない。

 ジョージ・フロイドの死を受けて出された声明で企業は、人種主義と差別を明確に否定し(コカ・コーラ)、不寛容とハラスメントを非難し(ボーイング)、より多様で包摂的な文化を企業が構築することを再び約束した(ブラックロックIBM)。

 メルクのケネス・フレージャーCEOやシティ・グループのマーク・メイソンCFOなど、米国の黒人男性としての自身の経験から、より個人的な考え方を示す企業幹部もいる。こうした発言は、パーパスと意志の重要な宣言になる。

 しかし、自分たちの組織を改善するという約束は、米国の人種と法執行機関との複雑な相互関係を改革するのに十分ではない。最近の世論調査によると、具体的で迅速な変化を求める何万人もの抗議デモ参加者らは、国民から圧倒的な支持を得ている。

 各都市や州はすでに改革に着手し、米国議会は先日、新たな法案を発表したことで、企業のリーダーたちは再び苦しい立場に置かれるだろう。

 共感以上のものを示すよう求められ、実際、さらなる行動を求める声はすでに上がっている。さらには、ステークホルダーが、議論の分かれる法律を通過させるため政治的な力を行使するよう、リーダーに求めるだろう。

 実際に、こうした行動に出たCEOもいる。

 アップルのティム・クックCEOは、インディアナ州の「宗教的自由回復法(Religious Freedom Restoration Act、RFRA)」に公然と反対し、ディックス・スポーティング・グッズのエド・スタックCEOは、店舗での銃の取り扱いをやめただけでなく、銃規制法の強化のための具体的な提案も行った。

 ノースカロライナ州のCEOアクティビストらは、異論の多い「HB2」(出生証明書と同じ性別のトイレ使用を義務づける州法)を廃止する法案を成立させるために画策した