●自分が本当に達成したいことを理解する

 仕事では基本的に、どのような状況を解決しようとしているのか、全体的な目標を常に考える。一方、家庭では、細かい事柄の縄張り争いや主導権争いに巻き込まれ、より生産的な解決策を受け入れることを忘れがちだ。ある母親は、外で帽子をかぶることについて、子どもとうまく妥協点を見出した。

「娘は帽子を嫌がって、とことん戦う覚悟だという顔をしていました。そこで、私は赤ずきんちゃんゲームをしようと誘いました。私のスカーフが赤ずきんで、これをかぶれば人気者になれるのよと言うと、娘は自分もかぶりたいとせがみました」

 彼女は、「帽子をかぶるか、かぶらないか」という勝者総取りの対決ではなく、自分が一番求めているのは娘の頭を守ることだと気がついたのだ。最も大切なことは何か、自分が譲れることと譲れないことは何かを理解すれば、1つの考えにこだわって行き詰まることはなく、自分の最終目標を達成できるだろう。

 ●補足のための質問をする

 子どものことを一番よく知っているのは、親であるあなただ。この事実は交渉にとってきわめて有用だが、ある瞬間に自分以外の人が何を思っているのか、完全に理解することは不可能なので、死角をつくるときもある。

「1個のドーナツをめぐって、子どもと衝突しました。彼は一度に全部欲しがったけれど、私はまず半分食べさせてから、もっと欲しがれば残りをあげようと思っていました。醜い争いになって、最後は私が頭にきて諦めました」

 仕事でこのように意見が食い違えば、なぜそこまでこだわるのかと同僚に尋ねるだろう。しかし、ドーナツ論争の父親は、このステップを飛ばしてしまった。彼はドーナツを半分ずつ渡そうとしたときに、大きなドーナツに丸ごとかじりつくことが、息子にとっていかに大切かを考慮しなかった。

 子どもがどうしたいのかを尋ねていれば、半分ずつしか渡さないことに変わりはなくても、親子のやり取りのトーンは変わったかもしれない。子どもに交渉に参加する機会を与え、自分の立場を説明させることは、フェアプレーの感覚を強めることにもつながる。

 ●適切なタイミングで適切なアプローチを使う

 エグゼクティブなら誰でも知っている通り、戦う必要のない戦いもあれば、戦略的に先延ばしにしたり、トップダウンで毅然とした決断が求められたりする場合もある。

 親も同じように、深く考えずに接するのではなく、適切なタイミングで適切な戦略を選ぶと効果的だろう。さらに、同じアプローチでも子どもの成長に合わせて(あるいは、そのときに空腹が我慢できないかどうかによって)着地点は大きく変わるかもしれない。

 いったん手を引くタイミングや(「このまま議論してもどうにもならないと思い、頭を冷やしてから続きを話し合おうと子どもに言いました」)、状況を把握するために時間をかけるべきタイミングを見計らうこと。

「だから言ったでしょう!」と言いたくなる場面もあるだろうが、これを多用すると、子どもは(親も)慣れてくる。意思決定の過程を説明すると、従順さと善意が大いに高まるだろう。