Westend61/Getty Images

子どもとの交渉は、どうしてもうまくいかない。仕事では交渉スキルを褒められている人でも、子どもには感情的になって否定したり、相手に完全に押し切られたりしてしまう。これは仕事の交渉術が家庭で通用しないというわけではなく、十分に活かしきれていないからだと筆者は指摘する。本稿では、子どもとの交渉を上手にまとめる4つの戦略を紹介する。


 今日も子どもと交渉することになりそうだ。おそらく、1回では済まないだろう。

 2000人の親を対象とした非公式な調査によると、私たちは1日平均6回(1回約8分、1ヵ月で述べ24時間)自分の子どもと交渉している。しかも、最近の状況を考えると、この数字はどこまで上昇しているだろうか。在宅勤務になって1日24時間、子どもと一緒にいるのだから。

 残念ながら、同じ調査によると、親はこれらの交渉の大半がうまくいかないと感じている。筆者らは社会学者として、教員として、自分の子どもとの経験を通じて、さらには共著Negotiating at Home(未訳)のリサーチで多くの親と話し合い、会議室ではきわめて有能な親が、食卓では苦戦しているという話をたくさん聞いてきた。

 ある優秀なエグゼクティブは、仕事ではいつも交渉スキルを褒められているが、自宅では非合理的で近視眼的な小学3年生の子どもと衝突すると、つい「お母さんに聞いてこい!」と言ってしまう。自分が非合理的で近視眼的なクライアントと交渉する機会が多いことを指摘されて、彼は困惑していた。