退行段階を乗り切る

 まず、自分のチームがどの程度、退行段階にはまり込んでしまっているかを見極める必要がある。その証拠は、ミーティングなどで見つかるかもしれない。メンバーの活力が低下したり、意思決定に時間がかかるようになったり(あるいは、まったく決定が下されなくなったり)、小さなことで混乱や衝突が生じたりする可能性がある。どうでもいい発言や沈黙、メンバーと連絡が取れなくなったりすることは、その一つの兆候だ。

 リーダーが自分自身をチェックすることも重要である。やる気が低下したり、心身ともに疲れを感じたりしていないか。引っ込んでいたいと思っていないか。いつになく短気になってはいないだろうか。

 次に、チームを退行段階から引っ張り出すカギを3つ紹介しよう。

 ●チームを壊して新たなスタートを設ける

 ある女性CEOは、退行段階に特有の兆候が経営幹部に見られることに気がついた。緊急段階は、自分たちの仕事ぶりに誇りを感じていたが、いまでは電話会議で細かいことをめぐり言い争ったり、発言者の真意を疑ったり、互いの領域への干渉が目立ったりした。

 そこで彼女は、チームを根本から変えるために毅然とした行動をとった。まず、この段階での価値をもたらさない人物を1人更迭した。そのうえで、自分は長期的視野を取り戻すために時間と余裕を確保すべく、CEOの役割を一時的に退くことを宣言し、幹部チームのメンバーに交代で1日CEOを務めてもらうことにした。

 その際、幹部チームのメンバーそれぞれに新しい役割を与えた。ある人は「緊急段階の日々の危機管理を行うCEO」、別の人には計画立案を任せて「回復段階のCEO」を務めてもらうといった具合だ。さらに彼女は、有能な新入社員を暫定的にエグゼクティブチームに加えて、長期的な戦略的改革のスピードを上げる任務を課した。

 すると、どうだろう。新しい役割を課されたエグゼクティブチームは、モチベーションを高め、生き生きと動くようになり、権限を明確に委任された。価値のないインプットに時間を費やすことはなくなり、誰もが満足感を覚えた。

 一方、CEOは「バルコニー」に戻った。これはハーバード・ケネディ・スクールのロナルド・ハイフェッツ教授の表現であり、大局的な視点を持ち、会社が直面する大きな問題に取り組む時間を増やすことをいう。

 あなたがCEOでなくても、この戦術はうまく機能する。チームの構造を変更して、有能なメンバーに新しい役割を与えることにより、古臭いヒエラルキー、職務の厳格な定義、官僚主義を一掃して、エネルギーを解き放つのだ。