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新型コロナウイルス感染症という史上最大の危機と対峙した時、あなたもチームのメンバーも生き生きと働いていたのではないか。アドレナリン全開で、チーム一丸となって複雑な問題に対処したことだろう。だが、目的意識が徐々に失われていくにつれ、些細なことで衝突するようになっていないか。筆者はこの状態を「退行」と呼び、自分のスキルを発揮する機会がなく、新しいことを経験できない退屈な状況は最大のストレス要因だという。本稿では、リーダーシップを発揮して、チームが退行段階を乗り切る方法を紹介する。


「こんなこと、いま言うのは不謹慎かもしれないが、これほど生き生きしているのは久しぶりだ」と、あるCEOは興奮した様子で語った。新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の感染拡大を防ぐため、政府の自宅待機命令が出た1週目のことだ。

 なぜなのか。新型コロナウイルスの危機で、戦略的にも、リーダーとしても、これまでになく自由に動けるようになったと彼は言う。予算の制約から解放され、市場予測は一時停止状態となり、日々のルーチンから逃れられるようになったことが、自分でも意外なほどエネルギーをもたらしてくれたのだ、と。

 別の女性リーダーも、「これほど生産的になったことはない」と言う。「あらゆる重要なタスクが、あっという間に片づくようになった。1年後でも、週明けでもない。いますぐ終わるようになった」

 それまでの彼女は、ステークホルダーを管理し、メディアのインタビューに応じ、取締役会の要望に応え、目先の脅威に対処し、競合とも話をし、かつてのライバルと手を組むなど、ノンストップで仕事をしていた。

 あるシニアエグゼクティブは、自分の経験を次のように表現した。「すべてがスピーディに動くようになり、優先順位が非常に明確になり、誰もがこの危機を乗り越えようと全社一丸となっている」

 3人のコメントは、危機管理の最初期は多くの人にとって非常に有意義で、活力にあふれていることを示している。だが、数週間後にもう一度話を聞くと、どのリーダーも、当初のエネルギーとチームのコラボレーションに変化が生じたことを語った。

 アドレナリン全開で取り組んでいた危機対応のペースは途切れがちとなり、問題が複雑になって、疲れを感じさせるようになった。当初の結束に亀裂が生まれ、輝かしい誇りが失われて、みんな気が短くなってきた――。

 いったい、何が起きたのだろうか。