未来を生きるスキルを身に付けるために、どう学ぶか

── さまざまな技術や手法を使いこなすためには、人の力が欠かせません。

 まさにその通りで、私は地方創生の最大の課題は「人材」だと考えています。都市・地方・企業・行政・規模に限らずデジタルテクノロジーを活用し、データに基づいて施策を立案できるITリテラシーとマネジメント力が必要になります。実際、会津若松での取り組みの成功要因の一つに、市役所職員の方のITリテラシーの高さもあると考えています。また、文化的にも環境的にも遠く離れた人と共働しながら新しい価値を生み出していくのがスタンダードになると、客観性を持って論理的に相手を理解し、自分の考えを発信していく姿勢がこれまで以上に求められるようになります。そのため、科学・技術・工学・数学を横断的に学び、正しく使いこなす力であるSTEMに注目が集まっていますが、それを土台にして構造的、論理的な文章を組み立てる力も重要になります。しかし残念ながら、そのための教育環境が充実しているとは言い難いのが地方の現状です。

── 次世代型のスキルを持つ人材を育てるためには、何が必要でしょうか。

 ここでも、連携、つながりが大きな役割を果たすと考えています。

 7つの提言で示した地方創生のアクションは、簡単に言えば全て課題解決のプロセスです。そして、そのプロセスを日々実行している現場といえば、何といっても企業です。これからは、教育の現場に企業をはじめとした社会人が参画し、現在の教育に足りない点を補完していくことが重要でしょう。

 アクセンチュアでは、企業市民(Corporate Citizenship)としての社会貢献活動のテーマを「Skills to Succeed(スキルによる発展)」と定め、次世代人材に求められるスキルを育成するさまざまな教育プログラムを開発しています。すでに多くの教育現場で活用されていますが、残念ながら、最もこうした学びが必要な地方に、私たちだけの力では十分リーチできているとはいえません。そこで、さまざまな地域企業と連携し、学校などへの展開をサポートしていただくような体制作りを進めています。将来的に自分たちの地域を担う人材を育てたい、と考えている地域の企業は多いと感じています。

 また、こうした課題解決スキルを測る「共通のものさし」として、ルーブリック(学習到達度指標)も開発しました。このような明快な指標に基づいたプログラムが世の中に増えれば、自然と次世代人材は増えていくでしょう。一部のリーダー層だけでなく、現場にも普通に次世代人材がいる、という状態になれば、日本は確実に変わります。会津若松市のような成功事例を、これからも広げていきたいと考えています。