●スターにする

 現在のパンデミックの渦中では、誰もが求められる以上の働きをしている。通常の活動をするのに、特別な努力を要する日もある。これは、目に見えない仕事、つまり当たり前と思っていたり、それにかかる労力を過小評価したりしている仕事に言えることだ。

 無名のヒーローたちを称え、全社的な場で彼らに光を当てよう。たいていの幹部は毎週チームと連絡を取っているのだから、脚光を浴びることがほぼない人たちの努力を、毎週大々的に発表することを始めてはどうだろうか。

 たとえば、あるクライアントは、テクノロジーを斬新な形で活用し、社外での活動を支援したプロジェクト・コーディネーターを紹介した。「マックス、ブレイクアウトルームにチームカラー、特徴あるサイン、ホワイトボードを作成してくれてありがとう。すべてあなたのキーボード、画面、そして素晴らしい資質によるものです」

 通常は目につかない成果に光を当てることで、生産性が向上し、共感を高め、何気なく他者に負わせていたかもしれない仕事量を理解することができる。

 ●ポジティブを広める

 研究によれば、感謝された人は他者に対して寛大で、手を差し伸べる。これを実現するには、組織内で「ペイ・フォワード」の仕組みをつくることだ。

 感謝をされた人に、他の人に感謝を示すよう促そう。それによって精神的な高まりが拡散するのと同時に、多数の人に感謝しようとする一人のマネジャーへのプレッシャーが軽減する。さらに、個人や、称賛に値する彼らの仕事の認知度を高めることもできる。

 ●チームとして感謝する

 チームとして感謝を表明し、特に優れた貢献を評価することで取り組みを拡大させよう。他の人を巻き込んで、大きな影響を及ぼしたものへの称賛を引き立たせよう。

 テーマを決めて、同僚のために寄せ書きができる「クドボード(Kudoboard)」のようなオンラインツールを使うこともできる。同僚の心に強く訴えることができ、前向きな行動を共有する中で、チームを結束させることができる。

 感謝を料理に例えると、相手の好みに合っているのが一番だが、与えるシェフと受け取る客の双方にメリットがある。目を向けられ、認められていると感じれば、あなたの周囲の人はその恩に報い、より努力し、より強いつながりを形成する。これらはすべて、危機のストレスを軽減するために不可欠な要素だ。

 感謝の気持ちは伝染する。現在と未来が不確実でも、私たちがコントロールできることの一つが、自分たちの行動である。感謝の気持ちを素直に表現すること、それを広める力になることができるのだ。


HBR.org原文:In Times of Crisis, a Little Thanks Goes a Long Way, May 22, 2020.


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