幅広い視点で問題を見つめる

 新型コロナウイルス感染症により、見慣れない変数が数多く入ってきたいま、パフォーマンス低下の原因を探るのはいっそう難しくなっている。コロナ前なら、ほとんど反射的に成績不振のスタッフに照準を定め、スキル不足やイニシアティブやコミットメントの欠如、あるいは態度の悪さが原因だと推測していたかもしれない。

 こうした要因が成績不振の原因になっていることは多いが、それがすべてであることはめったにない。そこで、成績の低下そのものではなく「成績が低下している人」に焦点を当てると、よりよい問題解決につながる。無数の新たな要因が関係している可能性があるいまは、特にそうだろう。

 そこで成績が悪化したスタッフと話をする前に、以下の問いを活用して、新たな要因を洗い出してみよう。

 ●何か異変があったのか

 最近、成績が下がり始めたスタッフに対処するときは、まず彼らの仕事をじゃましている可能性がある新しい変数を特定しよう。組織変更が最近あっただろうか。プライベートで何か問題が起きたのか。

 多くの人にとって在宅勤務は、技術的な問題や自己管理の問題を明らかにした。部下の仕事を確実に妨げている要因を判断するためには、リーダーは内密で辛抱強い会話を持つ必要がある。

 アニルの場合、家庭生活で果たすべき役割が多いことが、成績不振の大きな要因だとロビンは推測した。そして、そんなアニルに悪いと思ったために、その問題を真正面から取り上げなかった。結果的には、それが問題の真の原因を覆い隠すことになってしまった。

 ●以前よりも悪化したことは何か

 バーチャルに仕事をしていると、組織の弱点が増幅される。やっかいなプロセスはますます煩雑に感じられる。もともと秘密主義的な企業文化だったので、いまや情報取得は不可能にすら思える。時代遅れのテクノロジーを迂回するための工夫は、いまでは消滅寸前に感じられるかもしれない。

 だがリーダーは、組織上のどのパフォーマンスの問題が、従業員のパフォーマンス問題に寄与しているかを見極めなければならない。本人と話してみなければわからないときもあるが、その前にすべての要因を洗い出しておくことは重要だ。

 なぜならそれは、リーダーが自分の状況をあらゆる角度から検討して、自分の立場で考えてくれたと、スタッフからの信頼を得ることにつながるからだ。すると、彼らが成績不振の口実として、幅広い問題を挙げるような事態は減るだろう。

 ●どれが事実で、どれが感情か

 人間は危機に陥ると、不安や怒りや恐怖ゆえに、非難や防御的な姿勢、そして不合理な態度をとってしまうことがある。それは、孤立すると悪化する。だからこそ、このようなときは事実と感情を区別することが一段と重要になる。

 リーダーは、成績不振のスタッフに不満を感じても、こうした感情が存在することを受け止め、尊重する必要がある。そうすれば、何が事実かを話し合う準備がより整うはずだ。ロビンの場合、チームの怒りと顧客の怒りが彼女とアニルの罪悪感を増幅して、本当の問題を発見し、解決するための判断をくもらせた。

 ●何がリーダーの問題で、何がスタッフの問題か

 健全な説明責任は、リーダー自身がスタッフの成績不振の一因になっているかもしれないと、認めることから始まる。リモートチームに期待することを明確に伝えてきただろうか。必要なリソースやコーチングやフィードバックを与えてきただろうか。あなたのリーダーシップに、問題を悪化させる要因が存在するのだろうか。

 アニルは家庭生活に大きなストレスを抱えているに違いないというロビンの間違った推測は、この問題について直接話をしないという判断を正当化する、完璧な言い訳になった。だが実際には、この態度が問題を悪化させた。アニルが助けを求めたり、創造的な解決策を提供したり、新たな日常に目標を定めたりしなかったことも問題を悪化させた。