人は他者に見られていることで、もっと頑張ろうとする意欲が湧くと、社会心理学者たちは数十年前から気づいていた。他者に見られていると、人はより速く走り、より創造的になり、問題についてより一生懸命に考える

 そのような効果が生じる理由は、いくつかある。まず、自分の成果を他者に感心してもらいたくて、いっそうの努力を払おうとする。上司が職場にいるあいだは先に帰らず職場に居残ったことがある人ならば、この現象を体験していることになる。

 だが、他者の存在は、より大きく、より根本的な効果をもたらす。その人が何をするかに対してだけでなく、自身の行動をどうとらえるかに対しても影響を及ぼすのだ。

 他者に見られていると、自分が重大なことをやっているかのように感じ、その感覚がモチベーションを高める。人に見られているときには、他者の視点をみずからの視点に取り入れるからである。

 その二重の視点ゆえに、自分の仕事を拡大して見ることができる。大きくて意義深いものに時間やエネルギー、努力を費やすことは、些細に思えるものにそれらを費やすよりもモチベーションが上がる。重大な仕事ならば、より長い時間、より熱心に働こうとモチベーションがかき立てられるのだ。

 たとえば我々の研究では、バドミントンのトーナメント戦のあいだに観客の数が増えるにつれ、選手たちはみずからの努力がチームの役に立っていると強く感じることを突き止めた。他者に見られているときは一人でいるときよりも、数学の問題を解くためにいっそう努力したように感じた、という研究結果もある。より一般的に、自分を見ている人の数が多ければ多いほど、自分の行動がより大きく意義深いものだと実感するのだ。

 こうした研究結果から、互いに隔離された状態で仕事をしていると、モチベーションを上げるのがなぜ難しいのかを説明できる。

 何を達成しても、それが受信ボックスを空にすることであれ、プロジェクトを期日通りに終わらせることであれ、他者の存在がなければ意義をあまり見出せない気持ちになる。一人では何かを達成した際のよい気分をそれほど強く感じられないため、自己隔離の状況下では一生懸命に働こうというモチベーションが低くなるのだ。