ヴェネト州当局はただちに新型コロナ対策を最優先事項とし、大規模な検査を実施して、本当に入院が必要な患者以外には自宅隔離を求めた。ロンバルディア州は検査が追いつかず、患者を無計画に入院させて、医療施設がメガクラスターの現場と化した。

 首長の行動も、対応の違いを鮮明にした。ヴェネト州のルカ・ザイア州知事は堅実に舵をとり、市民とのコミュニケーションを心がけ、新たな情報が出ると政策を調整した。

 一方、ロンバルディア州のアッティリオ・フォンタナ知事は、ポピュリストの教科書に従った。最初はリスクを軽視した。次に移民と中国人のせいにした。そして、ついに危機の深刻さに疑いの余地がなくなると、不器用に方向を転換した。

 彼らの違いは政党政治のせいでもない。2人とも保守派の同盟(旧北部同盟)に所属するプロの政治家だ。2つの州の違いは、能力と戦略とリーダーシップのスキルに起因している。

 リーダーシップが重要だという考え方は目新しいものではなく、パンデミックの最中のリーダーシップに関しては、私たちはすでに貴重な教訓を学んでいる。

 優れたリーダーは、危機に直面しているときは特に率直かつ大胆でなければならない(ただし、人間性が必要だ)。彼らは断固とした態度で、分裂ではなく団結を目指す。パンデミックの重要な教訓は、優れたリーダーシップがいかに大きな違いをもたらすかということだ。

 たしかに、通常の予測可能な時期は、リーダーシップは決定的な要因というわけではない。制度など社会構造の質のほうが、はるかに重要だ。

 リーダーは、実用的というよりも象徴的な存在である。人を鼓舞することはできても、実際にはそれほど多くのことをやるわけではない。リーダーにどのような長所があっても、どのような欲求やスキル、コミュニケーション能力を持っていても、組織の根深い惰性を克服することはできないかもしれない

 しかし、危機に際しては、組織の性質や構造、リソースがどれだけ強力でも、足りないかもしれない。恐ろしい難題が立ちはだかり、ときにはまったく新しい課題に直面する。こうした状況では、強いリーダーシップが不可欠だ。荒れた海には、熟練した船長が必要である。