最後に、データドリブンになることを阻む最も顕著な要因は、社内政治に関するものである。政治はいまだに、どんな職場でも組織力学に影響を及ぼす要因だ。誰が採用され、昇進し、解雇されるかも社内政治に左右される。

 重要な点として、社内政治を牛耳る特権の持ち主たちは、彼らこそが体制側であるため、よりデータドリブンになることで組織文化を「消毒」しようというインセンティブを、ほとんど持たない。選ばれた集団、支配層、エリート層の一員であれば、自分がその成功に値する人間ではないと露呈させ、失脚さえ招きうるような存在を――この場合はAIやデータを――受け入れる理由はない。

 能力主義はよいものに思えても、それが実際には能力本位からはほど遠いことが明らかになれば、好ましいやり方とはいえない。しかし、そのことを受け入れるには痛みを伴い、データという新たなレンズを通して世界を見るための謙虚さと洞察が求められる。

「知識に対する最大の敵は無知ではない。知っているという錯覚である」という、スティーブン・ホーキングの言葉がある(米国議会図書館長ダニエル・ブーアスティンも、同様の言葉を残している)。

 HR部門だけでなくすべてのリーダーは、エビデンスにもとづく慣行と、データドリブンな意思決定を自分たちの組織に取り入れたいならば、論理的な出発点は一つしかない。それは自分の本能と直感が間違うこともあると理解し、気分がよいというだけの理由で直感に従って痛い目を見るのを避けるために、謙虚さ、自己批判的な態度、好奇心を十分に持つことである。


HBR.org原文:Are You Still Prioritizing Intuition Over Data? February 27, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
アルゴリズムによるマネジメントの問題はどこにあるのか
企業は採用候補者の評価にAIを使うべきなのか
人事リーダーにもデータスキルが不可欠である
DHBR.net特集「デジタル時代のHR戦略」