古臭い理想の労働者の概念を葬るときがあるとすれば、いまがそのときだ。アフターコロナの時代には、50年前ではなく、現代の労働者の生活を反映した理想を構築しよう。あなたが従業員エンゲージメントを注視しているなら、これが未来の方向性だ(最近の研究によると、上の空の従業員は年俸の34%のコストを雇用主にもたらしている)。

 その第一歩は、リモートワークの制度化だ。筆者をはじめとするリモートワーク擁護派は、その幅広い採用を妨げる最大の障害は想像力の欠如であることを知っていた。その時代は終わった。コロナ禍では、「リモートワークは不可能」とされていた多くの仕事が、あっという間にリモートになったのだから。

 この1ヵ月で3つのことが起こり、それまでは想像できなかったことが可能になった。企業はいま、シームレスなリモートアクセスに必要な時間と資金を投下している。テクノロジーにさほど詳しくなかった年配の社員は、それを理解するために時間を投資している。そして管理職は、目の前にいないスタッフを監督する方法を見つけた。考えられなかったことが、考えられるようなっただけでなく、ありふれた日常になったのだ。

 だが、長期的なリモートワークは、現在幅広く見られる危機による在宅勤務とは違う。リモートワークを制度化するには、労働時間中に子どもを預けられる場所や、気が散らずに仕事ができる環境が必要だ。

 カリフォルニアなどの州でリモートワークを実践する事業者は、食事時間や休憩時間など法定の労働者保護措置を実施しなければならない。一方、ほとんどの事業者は、残業時間に上限を定める権限を求めるだろう。

 企業は今後、リモートワークをどのように位置づけていくべきかを分析する必要があるだろう。リモートワークは、一般に労働者をより生産的にすることがわかっている(社内でスポーツ関連の雑談がいかに多く交わされているかを考えると驚きではない)。

 リモートワークはまた、従業員エンゲージメントと満足度を高め、離職の可能性を低下させる。リモートワーカーは労働時間も長い。平均的米国人は、通勤に毎日54分かけていることを考えると、驚きではない。

 リモートワークは、やるかやらないかの二者択一だと思わないほうがいい。多くの仕事や企業にとって難しいのは、リモートワークと出社の正しいバランスを見つけることだ。

 多くの知識労働者が必要としているのは、体系化されていない交流から生まれる着想と、それを実行に移す静かな時間である。それは、オフィスではない場所のほうが生産的になることが多い。リモートワークとオンサイトワークの最適の組み合わせは、企業や職種、そして個人によって異なるだろう。

 かつて、ある賢人が、危機を無駄にするなと言った。今回の危機も無駄にせず、進歩の機会にしようではないか。

 この恐ろしいパンデミックから、労働者とは野心的で、集中力があり、献身的な人(ただし仕事と家庭のバランスを取る必要がある)という新しい定義を生み出そう。3000万人の子どもたちが学校に行けない事実を、雇用主は無視するわけにはいかない。


HBR.org原文:The Pandemic Has Exposed the Fallacy of the "Ideal Worker", May 11, 2020.


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