立ち直って成功を取り戻すか、失敗を繰り返すかの違いは、文化にある。リーダーがつくり上げた雰囲気や従業員の待遇、パートナーシップの精神、方針転換する柔軟性、イノベーションを起こす想像力だ。

 途中の段階というのは、企業や地域社会が、進行中の活動で危険や損害に直面し、(何年も前から前兆があったにもかかわらず)十分な準備をしていなかった損失を経験したときの転換点となる。

 危機が迫ると、損失は制御不能になって悪循環に陥り、プラスの波に乗る前に、すべてが悪い方向に向かう恐れがある。

 急速に悪化する企業もある。リーダーがミスの重大性を否定したり、みずからの過去の行動を擁護したり、あるいは危機を個人的なものと捉えるなど大きな間違いを犯せば、なおのことだ。

 典型的な悪例が、英エネルギー大手のBPである。メキシコ湾にある同社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で大規模な爆発が起き、原油が流出して大きな損失に直面した。

 当時のCEOトニー・ヘイワードは、命や生活が脅かされたり失われたりした人々に配慮を示すのではなく、「私の生活を取り戻したい」と発言したと広く伝えられている。彼はまた、供給業者や当局者を公然と非難した

 情報を隠蔽したり、秘密裏に意思決定をしたり、責任転嫁するスケープゴートを探したりするなど、失敗の連鎖に特有の行動は事態を悪化させる。

 そうした文化の結果は、組織全体に現れる。下方スパイラルに陥ると、協力ではなく内輪揉めが起き、意見の断絶が噴出し、秘めていた怒りが表面化する。自分は無力で取るに足らないと感じ、消極的になる。そして生産性が低下し、イノベーションの可能性が閉ざされる。

 対照的に、ステークホルダーの声に耳を傾け、他者に尽くす「人が第一」の文化を持つ組織は、前向きな軌道に乗って下方スパイラルから抜け出すことができる。

 たとえば、中国の電気自動車(EV)メーカー威馬汽車(ウェイマー)は、今回のパンデミックの初期に、他のメーカーに先駆けて営業を停止した。なぜなら、従業員からの報告を信頼していたからだ。

 威馬汽車は会社を存続させるため、潜在顧客が人との接触というリスクを負わずに試乗できる「タッチレス・テストドライブ」を導入するなど、迅速なイノベーションを実施した。同社はさらに、3000社あるサププライヤーの多くに対する支払いを増やすことで、サプライヤーも生き残り、事業を継続できるようにした。

 以下に解説する3つの行動を組み合わせれば、会社の危機後の備えを可能にする説明責任、コラボレーション、イニシアチブをリーダーが刷新する助けとなる。