「心理的安息地(安全性)」の
企業文化を醸成する

――ハンブル・リーダーシップを機能させるためのカギとなるものは何でしょうか。

 ハンブル・リーダーは、1つのリーダーシップの型を言っているわけではありません。いつでもセレクティブに役割を変えられる、複層的なリーダーのことです。

 これまでの日本企業は、ほとんどが統制型のコミュニケーションスタイルでした。一方、ハンブル・リーダーは、統制型と自由放任型があるとすると、いつでも行ったり来たりできる両方のスタイルを持ったリーダーです。さらに、さまざまな部署や職種間といった社内だけではなく、顧客との壁を超えて調整するメタ・リーダーシップのスタイルだといえます。

 FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏の例が参考になると思います。自ら掲げる使命と目的を守るために会社の実権を握ることに貪欲であり、失敗を許容する経営方針を言葉にして徹底させる統制型の一面を見せる。一方で、社員を信頼して組織をフラットにし、全員が平等に貢献できるようにし、社員の管理は極力しない。

 また、広いオープンスペースの共用デスクで社員と率直に対話をして、相手の感情に寄り添い、問題を改善するという自由放任型の一面を見せる。その上で顧客の心に訴えかける製品を作るために人間の行動を理解しようと顧客との対話を重視し、製品に意見を取り込むことを行う。

 統制型のリーダーシップ、自由放任型のリーダーシップを、その均衡点でリーダーシップを変えていくというのが、ハンブル・リーダーシップの一番重要な点だと思っています。このようなリーダーがいないと、社員は失敗を恐れて行動しません。

 シャイン先生は1960年代より、企業文化における「心理的安息地(安全性)」の必要性を説いています。自分の考えや感情を発言したり、質問したり、自分の過ちを認めたりしても、安心できる、信じ合えるチームです。しかし、多くの日本企業は「挑戦し、失敗したら2度目のチャンスはない」企業文化が形成されています。

 アフターコロナの時代は、ますます外部の周辺的参加を活用することになるでしょう。そのとき、「心理的安息地」の企業文化を醸成できるハンブル・リーダーの重要度が高まっていくはずです。

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