自分の弱さを受け止めて
援助を求める

――ハンブル・リーダーシップとは、どのようなコミュニケーションスタイルなのでしょうか。

 今日のリーダーは、この先がどうなるかが分からない中で、正しい答えを出さなければなりません。しかし、正しい答えを探しているが故に、判断が遅くなっているのです。

 急がなければならないが、正しい答えが分からない。しかし、「分からない」と言ってしまうと部下から信頼されなくなってしまうのではないか。自分の権威が失われてしまうのではないか。そのような葛藤から、ますます判断が遅れてしまうと悩むリーダーは多いでしょう。

 この課題を解決するためには、従来型のリーダースタイルからの脱却が必要になります。「できない」「答えが分からない」ということをちゃんと言うことができるかどうか、「自分の弱さを受け止めて、援助を求める」ことができるかどうかです。

 自分の足りないところや弱いところを理解し、部下の強いところをよく見て、謙虚さを忘れずに「分からないから教えてほしい」と部下に質問をし、プロジェクトを成功に導く。これが「ハンブル・リーダーの姿」です。

 ソニーの井深 大さんは、トリニトロンの成功の前にクロマトロン開発で失敗した際に、「申し訳なかった。私の責任だ」と頭を下げ、部下の責任にせず、プロジェクトを引っ張ってトリニトロンのテレビを完成させたそうです。技術者としての軸を持ちながら、部下とは対等に仲間として技術議論をし、失敗したときには責任を取る。まさにハンブル・リーダーだったのです。