情緒的消耗感と闘うには、次の3つのアプローチを組み合わせる必要がある。感情のリソースの浪費を減らすこと、それを節約すること、そして、それを定期的に補充することだ。

 あなたの心の中に燃料タンクがあり、ダッシュボードには燃料の残量を示す計測機があると想像しよう。

 異常気象や荒れた地形、重い荷物、急なアクセルやブレーキが、普通に道路を走るよりも早くガソリンを消費させるのと同じように、あなたの燃料を急速に消耗させる状況がある。燃料が不足しないようにするために、困難な状況に直面する機会を減らし、効率的に運転し、定期的に燃料を補給する必要があるのだ。

 ●リソースの消費を減らす

 感情のリソースの消費を減らすための最初のステップは、自分を消耗させているもの(状況、タスク、人間関係)を認識し、それらに直面する機会を減らすことだ。

 エブリンの場合は、買収やパンデミックと景気後退による追加的なストレス要因がもたらす職場の文化的ダイナミクスの変化を変えたり、回避したりするために、自身にできることはあまりない。しかし、特に否定的な同僚と終末論的な会話をすると不安が高まることに気づき、そうした会話は避けるようにしている。

 同僚が不満を言い始めた場合、会社の方向性に満足していないときは、振る舞い方や人との付き合い方など、自分がコントロールできることに集中すれば互いに気分がよく、パフォーマンスも向上すると伝えている。そして、うまくいっていることを話題にする。

 エブリンはまた、上司に対して、幹部からの情報は不完全なものでも共有するよう求めている。組織のトップで起きていることを明確に把握していれば、チームをうまく管理できることをはっきりと伝えた。

 ●リソースを節約する

 次のステップは、感情をコントロールするテクニックによって、感情的な効率性を持つことだ。感情を認識、評価し、ストレスの多い経験を再評価するといった方法がある。

 エブリンは感情のリソースを節約するため、自分の経験と、それについての考えを見つめ直すという2つの方法を実践している。

 1つ目は、自分の視点から抜け出し、置かれている状況をより広い視野で考えることだ。直面している混乱の一部は、喜ばしいものではないが、合併や買収に伴う普通のことで、パンデミックの影響は世界が経験していることだと自分に言い聞かせている。自分は混乱を経験している大勢の一人だと思い出すと、自分だけではないと感じる。

 2つ目の方法は、自身のコアバリューを維持し、それによって困難な状況を乗り切ることだ。エブリンは誠実さと信頼を大切にしている。コーチングでは、誠実さと信頼という言葉で思い浮かぶものを振り返ることで、これらの価値観の具体的な強みを見つけることを促した。

 エブリンが思い浮かべたのは、棚に置いたアンティークの時計だ。父親から贈られたもので、いまもちゃんと動いている。彼女にとって、それは誠実さと信頼を表す。その時計を見るたびに、それらの価値観とのつながりを再認識し、チームから信頼される、積極的で支えとなるリーダーとして振る舞うことができると感じている。

 ●燃料を補給する

 情緒的消耗感を防ぐもう一つの重要なテクニックは、確実に燃料を補給することだ。新しい仕事を見つけなくてはならないかもしれないという不安を克服するため、エブリンはみずからのネットワークの人々に連絡を取り、関係を築き直している。

 彼らとの会話を通して、エブリンは仕事上のコミュニティに属しているという意識が強まり、自分に合った選択肢についての貴重な情報を収集し、多くを提供できる人材として認められていると感じる。その結果、希望に満ちた気持ちになる。エブリンは現時点では仕事を探していないが、探すことを決断したときには、よりよい立場を得るはずだ。

 仕事以外の活動に従事する方法もある。散歩をする、ズームで友人と連絡を取る、料理やガーデニングなどの趣味を追求するのもいい。リラックスでき、仕事から心理的な距離を置き、管理と抑制ができていると感じることができる。

 情緒的消耗感が知らない間にもたらす影響の一つは、あまりに疲れていて、運動や社会的な交流、趣味に必要な努力をすることができないと感じることだ。しかし、その努力はやらなければならない。

 エブリンと家族は、新たなつながりを楽しく築くためのクリエイティブな習慣を思いついた。毎晩6時になるとジャックがダンスミュージックをかけ、リビングルームで皆で15分間踊るのだ。子どもたちはそれを楽しみにしており、大人たちはその日のストレスを発散し、皆で笑い、笑顔になり、一緒に馬鹿なことをするのを楽しんでいる。

 その時々の経験に注意を払う、呼吸に集中する、感謝していることを10分間考える、前向きなことを意識的に探すといったマインドフルネスの実践も、燃料を補給する方法だ。研究によると、職場でそれを実践すると情緒的消耗感が軽減する。

 上記の方法を取り入れても、ストレスや不安を経験しなくなるわけではない。しかし、情緒的消耗感に対するレジリエンス(再起力)や抵抗力が高まるはずだ。


HBR.org原文:How to Refuel When You're Feeling Emotionally Drained, April 30, 2020.


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