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新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、私たちの労働観に大きな影響を与えている。自分は何をやるべきなのかと自問して、キャリアを考え直している人もいるだろう。一方で、先行き不透明な中、わざわざ大きな変化を起こすのをためらうのは当然でもある。本稿では、この葛藤と向き合い、困難な時期を乗り越えながらキャリアの再構築を考えるうえで役に立つ5つの原則を示す。


 予期せぬ出来事や衝撃は、私たちのありふれた日常を混乱させ、快適なゾーンから引き戻し、何が重要なのか、やる価値のあることは何か、大きな問いを投げかける。したがって、現在のパンデミックのただ中で、多くの人がキャリアを再考しているのも不思議ではない。

 しかし、本当に適切な時期なのだろうか。幸いにも感染していない人、感染した人を看病している人、生計のやり繰りに苦労している人──多くの人にとって、パンデミックは不確実性を高め、心理的にも経済的にもインフラ的にも不意打ちを食らわせている。まさに脅威を感じる状況だ。

 そして、心理学が示す通り、脅威は保守的な行動を促す。これは、キャリア・チェンジに必要な心構えとは対極的だ。リスクを避けたいと感じ、将来に不安を覚えるときに、キャリアの再構築を真剣に考えることは難しい。

 では、家族や企業の基本的な生存を確保するという差し迫った必要と、今回の危機が収まったあとに何か新しいことをやりたいという欲求の高まりとのバランスを、どのように取ればいいだろうか。

 私はこの20年、キャリア・チェンジについて研究してきた。その間にドットコム・バブルが盛り上がってはじけ、2008年に金融危機が起こり、その後は長期的な強気相場が続いて、新型コロナウイルスのパンデミックがその流れを断ち切った。

 この経験から、困難な時期を乗り越えながらキャリアの再構築を考えるために、いくつかシンプルな原則が役に立つことを学んだ。