平安がエコシステムの大きな優位性を確立するうえで、2つの重要なステップが寄与してきた。

 第1に、専有技術のプロダクト化である。平安は定期的に、自社のソリューションを市場向けの新たなプロダクトとしてアレンジしている。ただし、平安みずからが成果を実証してからでないと、市場には投入されない。

 例を挙げよう。平安はコロナ危機のさなかで最も初期に全業務をオンライン化した一社であり、2020年の2月3日には移行を完了していた。140万人の従業員と外交員によって、すべての移行作業が実行された。このソリューションの実現可能性が実証されると、平安はすぐさまこれを他の金融企業向けの新しいサービスに仕立て上げた。

 第2の優位性は、自律的な事業部群から成る組織構造に起因する。優れた技術を持つことは重要だが(素晴らしい技術を持つ企業はたくさんある)、新たな顧客を見つけることのほうが往々にして難しい。

 平安の自由裁量制によって、事業部は本部の承認を頻繁に求めなくても、自組織の影響力をさまざまな市場に広げることができる。一つの事業部が、金融からヘルスケア、スマートシティのソリューションにまでサービスを拡大できるため、それらの市場を横断する包括的なソリューションを提供しているのだ。

 たとえば、平安は長い間、深センでスマートシティのソリューションを提供してきた。そして現在のコロナ危機の下、平安スマートシティは医師向けの人工知能による画像解析システムにまでサービスを拡大できている。

 これは平安のヘルスケア事業部が開発・販売するサービスだが、その元となっているのは、平安のスマートシティ事業部が開発した「愛深セン」というアプリケーションである。ヘルスケア事業とスマートシティ事業の両方を統合していることで、エコシステムの優位性が――他のさまざまな強みとともに――鮮明になっているのだ。