トーンと話し方をあらかじめ練習する

 激しい感情と向き合うリーダーは、ただメッセージを伝えるにとどまらない。リーダーの存在そのものがメッセージとなる。デジタル媒体で伝える場合、投げかけられた質問に正確な答えがない場合には、その認識がいっそう重要になる。

 不安を抱えた聴衆は、リーダーの一挙手一投足を見逃すまいと、緊張感を持って聞いている。あなたの声の調子や話し方のペース、ボディランゲージ、顔の表情、そのすべてが、信頼を集めるよう機能しなければならない。

 すなわち、実際に答えを確信している問題について話すときは、自信と信念を伝えるべく、断定的な言い方をしよう。

 対照的に、答えが不確かな場合は、白黒のはっきりしないグレーの部分についてどう考えているかが伝わるよう、もう少し陰影ある話し方を練習する。たとえば、「現時点で、私は顧客が聞きたがっている答えをすべて持ち合わせていない。だが、答えを出すべく取り組んでいる我が社のチームを信頼している」と言うとよい。

 最も重要なのは、弱みを見せるのを恐れないことだ。自分がどんなことで不安や悲しみを感じているか、いまどんな疑問が頭から離れないかについて打ち明け、苦しみながら孤独感を抱いているであろう聞き手への共感を示すのだ。

 大切なのは、あなた自身の不安を話の中心にしたり、聞き手の感情を高ぶらせるまで話しすぎたりしないことである。

失敗したら、すぐに修正する

 いまのような困難な時期は、誰であれ、いつもより猶予が必要である。リーダーたちはみずからが間違いを犯したら、猶予を乞うことで手本を示せる。

 このような場面を認識する方法の一つとして、重要なコミュニケーションや会話を交わす際に「スポッター」を決めることが挙げられる。スポッターとは、あなたが何を話したのか、どのような言い方をしたか、他人がどう解釈したかについて注意深く観察する役割を担う人である。

 冒頭のタウンホールミーティングは、テレカンファレンス形式だったので、我々がスポッターの役割を務め、どのように軌道修正すべきかについて、メッセージを通してクライアントに提案できた。

 彼はいったん話をやめると、自分がうまく答えられなかったと認識した部分に立ち返り、時間を置いて話したいと聴衆に告げた。そして、自己防衛的な反応を示したことを詫び、努めて冷静であろうと振る舞わなくてはという思いからそのような反応をしてしまったと認めた。

 最終的に社員の多くは、ミーティングのその部分を、他の部分よりポジティブに受け止めていた。

 難しくて答えのない質問を受ける立場にあなたがいるのであれば、どう答えるか、時間をかけて準備しよう。表面的な質問の奥に潜む本当の不安をやわらげるような、気遣いに満ちた誠実な返答をし、従業員自身が自分の持つ強さに気づいて学ぶことを促すほうが、正確なだけの答えよりもずっとよい効果をもたらすだろう。


HBR.org原文:How to Answer an Unanswerable Question, April 23, 2020.


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