(3)過ちには生産的に対応する

 パンデミックは――大規模なシステム障害なら何であれ同様だが――稀で複雑なため、リーダーの行動がどれほど賢明でも問題は否応なく生じる。避けられない失敗と予期せぬ困難にリーダーがどう対応するかは、危機を最初にどう伝えるかと同じように重要だ。

 まず、失敗が生じたら、リーダーは後ろ向きな自己防衛や非難をしてはならない。目標への集中を維持し、次に来る最も差し迫った問題の解決に取り組んでいくために、先を見越しておく必要がある。

 例を挙げよう。ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、全米で新型コロナウイルスの検査が受けられない状態が続いている時期に、NBAの選手らが検査を受けたのは不公平だと苦言を呈した。シルバーは、批判が正当であることを公式に認めたうえで、より大局的な観点から、(本当の)根本的な問題は検査の不足であると強調した。

 彼はこう述べた。「もちろん、デブラシオ市長のお考えはわかります。そして、検査がトリアージ(症状などに応じて優先順位づけ)されているというこの社会の現状は残念です。つまり、根本的な問題は明らかに、検査が十分ではないということです」

 筆者らは、新型コロナウイルスに対するNBAの対応は完璧であったと、指摘したいのではない。シルバーは批判を受け入れたうえで、パンデミックへの対処と検査へのアクセス拡大という重要な課題に焦点を当て続けた、というのがポイントである。

 いかなる失策においても重要なのは、耳を傾け、認め、すべての人々を問題解決へと向かわせることだ。

(4)常にアップデートする

 優れたリーダーシップにまつわる非常にありがちな誤解は、リーダーは揺るがず徹底的に方針を貫くべし、というものだ。

 もちろん、揺るがずにいることはこの時期に必要だ。しかし、パンデミックという稀な事態の急激な進展を踏まえれば、道筋を定めて固守するのがリーダーの仕事だと考えるのは誤りである。

 リーダーは事前確率に関する自分の理解を常に、毎日でもアップデートしなければならない。そのためには、周到に戦略を駆使して新たな情報を引き出し、事態の進展と新情報の浮上に応じて迅速に学ぶ必要がある。

 これはつまり、専門家をアドバイザーとして頼り、さまざまな意見を熱心に求めるべきということだ。シルバーはコロナ危機に際して方針を進める中で、数多くの幅広いアドバイザーたちを頼りにした。その顔ぶれには、NBAのスポーツ医学ディレクターであるジョン・ディフィオリ、新型コロナの初期の被害を見てきた中国在住の関係者、米国公衆衛生局の前長官ビベック・マーシーなどが含まれる。

 不明瞭な脅威に際しては、リーダーへの助言チームのメンバーは時とともに入れ替わってもよい。なぜなら、新たな情報は多くの場合、新たな問題の表面化を意味し、それに応じて必要な専門知識も変わっていくからだ。問題の進展に合わせて適切な人材を見つけ活用することも、アップデートの取り組みの一環である。