実は、それこそまさにニュージーランドで起きたことである。ジャシンダ・アーダーン首相が3月21日に行ったパンデミックへの対応は、大胆であり、かつ国民の支持を生んだ。

 アーダーンはこの日、国民に向けて8分間のテレビ演説を行い、4段階から成る新型コロナウイルス警戒システムを発表した。これは、国内ですでに運用されている火災危険度警報システムをモデルとしているため、馴染みやすい。政府がどのように対応レベルを引き上げていくのか、そして感染率の上昇に応じて国民に何が求められるのかについて、明確なガイドラインが設定されている。

 ニュージーランドでの感染確認数がまだ52件しかないときに、首相の発表で警戒レベル2が設定され、移動の一部制限と、接触を控える要請が行われた。しかし4日後に感染確認数が205件に増えると、警戒システムはレベル4に引き上げられ、全国的なロックダウン(都市封鎖)が実施された。

 同じ頃、彼女と同等職の政治家――つまり世界中の国家元首らは、全面的な規制を強いても国民の支持を保てるのかを心配していた。しかしアーダーンの行動は、正直さと思いやりが人々の支持を生むことを証明した。ニュージーランドの全国的世論調査で、アーダーン政権への国民の支持率は3月27日時点で80%を超えている。

 状況は依然として不確実性が高いとはいえ、4月7日時点でニュージーランドの新規感染確認数は2日連続で減少に転じている。4月6日、この日の感染確認数54件、そしてパンデミック発生以降の感染による死者がたった一人という発表を受け、『ワシントンポスト』紙はこんな見出しをつけた。「ニュージーランドは感染カーブを横ばいに抑えるだけでなく、押しつぶしている」

 重要な点として、アーダーンが段階的な警戒システムを明示したことで、人々は今後の警戒レベル引き上げの可能性を事前に把握していた。自分たちに何が求められるのかを知っており、その要求を受け入れたのである。

 メッセージをどう伝えるかは重要だ。アーダーンのコミュニケーションは明確で、正直で、思いやりがある。今後の日常生活で犠牲を強いることを認め、ともに耐えて前に進もうという気を人々に起こさせた。

 3月21日の演説は、ニュージーランド国民の今後のすべての行動に対する感謝で締めくくられた。人々が霧の中で行くべき道を探していた当時、彼女の力強い結びの言葉は、すぐに世界中で注目された。「どうか強く、優しくなってください。そして新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に、団結して立ち向かいましょう」

 国民のほとんどにとって状況が明確ではなかった3月に、アーダーンとシルバーは何を正しく理解していたのか。

 このことを考えると、コロナ禍における優れたリーダーシップのあり方がよく見えてくる。いまリーダーに何が求められるのかを理解する第一歩は、コロナ禍の初期段階で生じた問題の性質を認識することだ。