今回のパンデミックで最も辛い部分は、不確実性かもしれない。このウイルスの感染力に関する不確実性に始まり、計画していた旅行はどうなるのか、経済の先行きや、就職はどうなるのかといった不確実性もある。

 不確実性は、まさにウイルスのような働きをする。私たちの中で燃えさかる、不安の炎に油を注ぐのだ。この現象は、不確実性が、人間の脳の恐怖を司る部分を活性化することにより生じる。だが、そのプロセスを理解すれば、適切な対策を講じ、精神衛生の改善を図ることができる。

 まず、恐怖は人間の存続を助ける基本的なメカニズムの一部であると、理解することが重要だ。私たちは何らかの危険に遭遇して恐怖を覚えると、このメカニズムが起動して、将来その危険を回避する行動を取るようになる。その結果、実際に危険を回避できると、その報酬を実感する。

 この3段階のメンタルプロセスは、人間が先祖代々受け継いできたものだ。鋭い牙を持つトラを見て(引き金)、逃げ(行動)、生き延びて、草原の特定のエリアを避けるよう子どもたちに語り継ぐ(報酬)、というわけだ。

 恐怖は人間が生き延びる助けになるが、そこに不確実性が混ざると、精神的に非常に悪いもの、すなわち不安をもたらす可能性がある。そして、不安が社会的伝染(「人から人への情緒の拡散」と定義される)によって広がると、一段と大きな問題、つまりパニックが起こる可能性がある。パーティに行くと、急に「社交モード」にスイッチが入るのと同じように、恐怖や不安といった感情も集団の中で広がりやすい。

 もっと悪いことに、ソーシャルメディアによって、物理的に人が集まっていなくても「情緒的感染」は広がる。ユーザーの多くは、善意で新型コロナウイルスの情報をシェアしているのだが、品切れ情報を伝えたり、状況が悪化するという憶測を書き込んだりすると、意図せず悪質な結果をもたらしかねない。

 スマホやPCで最新ニュースをいつもチェックするのは、恐怖というくしゃみを連発する人とすれ違うようなものだ。読めば読むほど、不安が自分に乗り移り、やがてみずからそれを広めることになる。

 こうした感情が広がると、理路整然とした思考ができなくなり、恐怖が危険を回避する行動につながらなくなる。それどころか、恐怖が危険そのものになる。

 このような事態を防ぐ方法はいくつかある。筆者らの研究によると、マインドフルネスが非常に有効な可能性がある。

 筆者の木曜日の授業がよい例だ。