●間を取る

 難しい質問をされたときには、慌てて答えないほうがよい。質問を正しく理解したら、少し間を取り、出だしの言葉を考える。そこで強い言葉が出れば、あなたも質問者も、その先に自信を持つことができる。

 時間を稼ぐ方法はいくつかある。たとえば、水を一口飲む、質問を反復する、沈黙する。考える時間を取ると、きちんと話を聞いていることが相手に伝わる。

 そうして、このように切り出す。「お知りになりたいのは、どのようなプロセスでこの目標設定になったのか、ということでよろしいでしょうか」。あるいは、相手に選択肢を与える。「目標設定のプロセスをご説明してよろしいですか、それとも、数字を埋め合わせるアイデアをお話ししたほうがよいでしょうか」

 次に会議があったときは、自信を持って話している人の時間の使い方を注意して見ると参考になる。そういう人は焦りを見せずに、インパクトを与えながら効率よく議論を進めている。

 間を取ってから話し出すと、話し振りも改善される。自分の口癖を自覚してふだんはうまく抑えられている人でも、緊張すると「えー」や「えーと」「あのー」といったつなぎ言葉のフィラーが飛び出し、無意識のうちに繰り返しがちだ。

 深呼吸して(あるいは水を一口飲んで)、フィラーではなく本物の言葉が出てくるまで沈黙を続ける。句読点で区切られた文章を頭の中でイメージし、句読点の箇所は、口癖のフィラーではなく呼吸で際立たせる。その場しのぎの言葉を使わないだけでも自信が伝わり、この一呼吸でさらに考える時間ができる。

 ●充分思考になる

 質問されて答えられないと、ふつうの人は、その仕事をする能力がないと思われ、人前で恥をかかされ、クビにされるのではないかと考える。こうしたよくある思考の罠は、不安から生じ、プレッシャーがかかることで陥る。

 その原因は、不足に対する不安だ。成果を十分に上げていないとか、もっとひどい場合は、自分自身が不十分な存在なのではないかと考えてしまう。

 そこで、頭をアバンダンス・マインドセット(充分思考)に切り替えよう。頭の中で渦巻く不安から生まれる言葉とは反対の文章を組み立て、自分に言い聞かせる。「このプロセスについて、自分よりもわかっている人はいない」。

 樽底のカスをかき集めるイメージを捨てて、豊かさをイメージさせる文章を付け加える。たとえば、「シニア・バイスプレジデントは、誰もやったことのないこのプロジェクトを何より成功させたいと思っている」「部長は自分に期待をかけていて、この後のCEOへのプレゼンで本領を発揮できるように、いま厳しい質問をしてくれている」

 充分思考になると気持ちが落ち着き、分析的思考と心の平静を保つことにつながる。