●あなたにとって、この期間で最も大切なものは何か

 愛する者の健康と安全だと、誰もが即答するだろう。それ以外で、あなたにとって、この時期の最も重要な目標を3つ挙げてほしい。

 どうしても完了したいプロジェクトがあるか。築きたい関係があるか。在宅の期間を利用して、次のキャリアへの移行の計画を立てることだろうか。それとも、子どもの教育が最優先だろうか。

 こうした目標を理解し共有することが大切なのは、そうすることで時間の配分の最もよい指針になるからだ。いまの状況では、たいていの人はすべての面で生産性が低下するだろう。だが、3ヵ月後に振り返っている自分を想像してほしい。あなたは何をものさしにして、時間を賢く使ったかどうかを判断するだろうか。

 ●今後、数ヵ月、2人のキャリアの相対的な優先順位をどうするか

 2人とも在宅勤務で、同時に子どもの世話や高齢者の介護など他の責任も負う場合、いつ、どちらの仕事を優先するかを考える必要がある。

 片方のキャリアが常にもう一人のキャリアに優先するという、固定的な取り決めにするか。フィフティ・フィフティを維持するか。あるいは、週単位でどちらかの仕事の時間を優先する必要があるか。

 私の研究では、どのやり方も有効だ。いずれにせよ、あらかじめ方針を決めているカップルが最もうまくいく。

 この取り決めは、2人の間で毎日の仕事の時間を配分するときのロジックにもなる。ある時期に相手の仕事を優先すべき理由を理解していれば、恨みを募らせたりしないで、この期間に互いに払う犠牲を受け入れやすくなる。

 ●この期間のあなたの子育ての原則は何か

 いまは働く親にとって非常時であり、ふだんは守っている原則を現実に合わせて修正する必要が出てくる。

 ゲームの時間制限を緩める必要があるか。あなたはどの程度、家庭学習に関わりたいか、また関わる必要があるか。子どもの生活において、あなたが最も重視している要素は何か。屋外で過ごす時間、読書の時間、スポーツ、勉強? 現在の危機について、どのように伝え、子どもの不安を和らげるか。

 パートナーと意見が一致し、原則の修正を明快に子どもに伝えることができれば、家での境界線(そして平和)を守りやすくなるだろう。

 ●この状況を乗り切るために、互いに望むことは何か

 私たちは皆、サポートを切に必要としている。あなたにとって、それはどのようなものだろうか。

 精神的なものか、実際的なものか。その日の業務報告をしたり受けたりするため、毎晩15分間、気を逸らされない時間を確保できることだろうか。ふだん、あなたがすべてを負っている役割の一部をパートナーに分担してもらうことだろうか。危機の合意を守るため、パートナーからどのような手助けが必要だろうか。

 あなたとパートナーとでは、相手に望むことが違うかもしれない。パートナーの必要に合わせることを通して、この時期を乗り切るために必要な善意と愛を示すことができる。

 ●あなたが最も心配していることは何か

 現在の危機と、長期にわたる在宅勤務という現実に、ほとんどの人は不安をかき立てられる。

 あなたの心配は、雇用の保障だろうか。仕事と子育ての境界線への対応だろうか。充実したカップルの時間を持てないことか。キャビンフィーバー(長期間、狭い場所に閉じこもることによる情緒不安定)になることか。どちらか、あるいは両方が重篤な病状になったら、どうしたらいいかという心配か。

 危機の時期には、多くの人は感情を押し殺し、心配を抑え込もうとする。しかし、カップルの間でそれは無用だ。お互いが最も心配していることを理解するのは、相手を労り、思いやるために大切なことなのだ。

 パートナーが何を心配しているかがわかれば、それをやわらげ、軽減するために具体的な手段を講じることができる。

***

 危機に直面すると、私たちの視野は狭まり、目の前のタスクしか見えなくなりがちだ。ある女性は、私にこう言った。「この状況では、タスクモードになりがちです。でも、ここを乗り切るには、新しい合意をつくることが必要だとわかってきました」

 彼女の言葉は、私の研究結果とも一致する。うまくいくカップルは、まず合意から始める。そのうえで初めて、実際的な事柄へと考えを進めるのである。

 合意した原則が実際的な問題解決を導くロジックとして機能する限り、そして会話をたやさない限り、2人はこの時期を乗り越えられるだろう。

 きっと、2人の関係もずっと堅固になるだろう。ウェディングベルが鳴るか、セカンドハネムーンの予約をするか、ひょっとしたら小さな服の編み物に取り掛かっているかもしれない。そしてそうなったらまた、新たな合意に至るために、話し合う必要が出てくるだろう。


HBR.org原文:How Dual-Career Couples Can Work Through the Coronavirus Crisis, March 27, 2020.


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