デュアルキャリア・カップルは、給料の出る仕事と無給の家事労働の明確な線引きもないまま、新しく不慣れな問題に山ほど直面する。一つ屋根の下で、どうしたら、2人とも生産的に働くことができるか。誰が、いつ、ホームオフィスを使用するか。在宅勤務にありがちな過労やバーンアウトに陥らないために、どうすればいいか。

 毎日24時間一緒に過ごすとなると、突然、相手のちょっとした癖が気になり始め、不和の種になることがある。それには、どう対処すればいいか。そして、働く親でもある場合、どうしたら子どもを何かに集中させ、家庭学習をさせられるのか。それも友人も祖父母も外部の保育者もいない中で対処しなくてはならない。

 こうした問題へのよくあるアドバイスは、カップルの目を実際的な問題に向けさせようとするものだ。

 日々のスケジュールを立てよう。ダイニングテーブルで仕事をしないように。ホームオフィスのドアは閉めよう。雑用は分担しよう。上司と話そう。子どもの世話と仕事を順番制で行おう。定期的に休憩しよう。睡眠時間は削らないように。テクノロジーを活用しよう……。

 こうした実際的な問題解決法は、無論、重要であり、すべてのカップル、すべての働く人々が真面目に取り組む必要がある。

 だが、これまでの私の6年の研究で明らかになったのは、危機が去ったときにそれぞれの別々の道を進むのか、それとも(もしかしたら3人目の子どもと一緒に!)2回目の蜜月に入るのかを分けるのは、こうした現実問題に、どう対処したかではないということだ。パンデミックの危険にさらされても牛乳を買いに行く勇気を、どちらが見せるかが重要ではない。

 むしろ、100組を超すカップルへのインタビューからわかったのは、関係やキャリアを傷つけずに危機を乗り越えるカップルは、危機の入り口で、一定の原則について話し合い、合意しているということだ。

 自分にとって何が最も大切か、何を達成する必要があり、達成したいと思っているか、相手に何をしてほしいか、代わりに何を提供できるか、といった点を話し合うのである。2人が合意した原則こそが、危機が展開するにつれて取るべき、実際的な解決策を導き出してくれる。

 この「危機の合意」の土台にあるのは、拙著Couples That Workで、すべてのデュアルキャリア・カップルの成長に不可欠なものとして指摘した「カップルの契約」である。いったん契約を結べば、それですべて完了するわけではない。大きな変化、特に危機に襲われたときには、合意を調整する必要がある。

 危機の合意に達するのに、さほど時間はかからない。今晩にでも、パートナーと一緒につくれるだろう。

 まずは数分間、各々が以下に挙げるそれぞれの質問に対して、自分の考えを書き出そう。時間枠は3ヵ月と設定する(現時点では、いまの状況がどのぐらい続くかわからないが、中国のケースに基づいて推測)。

 自分の考えをまとめ、書き出したら、1項目ずつパートナーと共有し、落とし所を見つける。そして、合意したものを書き出そう。

 この合意は現在進行形の合意として、毎週見直し、軌道に乗っているかどうかを確認するといい。また、この合意は、次に取り組むべき実際的な問題の土台にもできる。