セキュリティの自動修復機能を採り入れる

河野 セキュリティの手法では今後、「自己修復の仕組み(Self-healing)」の実装が重要になります。大きな問題が起きる前に、自動的に修復し、ビジネスを止めることなく生産性を維持するための仕組みを構築していきます。

 例えば、従業員が悪意のあるターゲット広告をクリックし、マルウェアに感染してPCへの不正侵入を許してしまったとします。その際、自動対処・条件付きアクセスを使ったセキュリティ機能によって、そのPCの一部の機能だけを制限しながら、利用者の全ての作業を止めることなく、自動でマルウェアを除去し、その影響を調査し、影響範囲にあるデバイスやユーザにも同様の作業を自動で行うことができるようになっています。

 マイクロソフトでは、これらの機能をすでに Microsoft 365に備えていますし、従業員の生産性を維持しながら、企業データを安全に保つために必要なIT環境の提供を始めています。海外拠点やM&Aで新たにセキュリティポリシーなどを検討する場合に、ドメインやテナントが異なったとしても、共通のIT基盤を利用することで、サプライチェーンやエコシステム全般で、こうした自動修復の機能を共有できるようになると考えています。

経営者が安全と快適をデザインするリーダーとなる

――最後に経営者に向けてメッセージをお願いします。

大野 何も意識することなく安全で美味しい空気が吸えるように、サイバー空間でも安全かつ快適に仕事がしたいと皆が望む時代となりました。これまで通り環境変化に合わせる形で、事業部門や管理部門の権限範囲内でリスク対応を行っていると、つぎはぎだらけ、付け焼き刃の対策となり、結果として利便性を損ね、管理コストが増大します。そのため、快適なサイバー空間を作るためには、経営者自らが指揮をとり、利便性と堅牢性のバランスをとりながら快適化をデザインすることが重要です。

 これまでセキュリティというと、経営者はどうしてもコストという捉え方から離れられなかったと思います。しかし、デジタル環境は企業成長をもたらす基盤であり、セキュリティは信頼確保のために不可欠な投資と考えるべきです。エコシステムで快適(安全かつ便利)なサイバー空間を提供できれば、従業員もクライアントも自ずと多く集まってくるでしょう。

 アクセンチュアでは、COVID-19によってもたらされる社会、業界変化の全体像を取りまとめていますが、その中でもデジタル環境は加速度的に変わっていくでしょう。遅れをとらないように、経営層にはデジタル環境の快適化やセキュリティの強化に積極的に取り組んでいただきたいと思っています。

本取材のインタビューも、それぞれの拠点からリモートで実施された

河野 デジタル環境やセキュリティ環境の構築において経営者のリーダーシップが求められる一方で、経営者の判断に必要なデータが少なすぎるように感じています。良い判断を行うためには、経営者が判断しやすいデータを現場が提供しなくてはいけません。そのためにも、セキュリティの取り組みをお金の問題として費用対効果を示す、あるいは事業の継続性の視点で評価できる指標提供しなければ、その良し悪しを経営者が判断することはできません。これらの課題を解決するために、セキュリティ分野においても、経営判断に役立つビジネスインテリジェンスの含まれたレポートを作成する企業が増えてきました。Microsoft 365では、脆弱性管理ダッシュボードやセキュアスコアを用いて自社の進捗度や成熟度、評価などがひと目で分かるレポートを提供しています。こうしたツールによる仕組みをうまく活用いただき、経営者が的確な判断と指示が容易に行えるようになることで、会社全体のガバナンスやマネジメントを強化していくことにもつながると考えています。


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