この記事を読んでも、まだ深い悲しみに打ちひしがれている人に助言があれば、お願いします。

 ここで紹介した取り組みを続けてください。自分の抱いている感情の正体が悲しみだとはっきり認識することには、大きな効果があります。自分の内面を理解する助けになります。

 この1週間、「とても辛いと、同僚たちに打ち明けた」とか、「昨晩泣いてしまった」と私に話した人が大勢いました。このように自分の内面の感情を明確に認識すれば、その感情をしっかり感じて体験することができます。そのようなプロセスは避けて通れないものです。

 自分が経験している感情を知ることが重要です。自己啓発ブームが生み出した不幸な副産物の一つは、自分の感情に対して感情を抱く傾向が生まれたことです。

 たとえば、「私はいま悲しい。でも、そんなふうに感じることはよくない。もっと辛い経験をしている人もいるのだから」などと考えてしまう。でも、「私はいま悲しい」とだけ思えばよいのです。というより、そうすべきです。「私はいま悲しい。5分間、悲しむ時間が欲しい」と思うようにしましょう。

 大切なのは、ほかの人がどのような感情を抱いていようといまいと、自分の悲しみや恐怖や怒りにしっかり向き合うこと。そうした感情を抑え込もうとしても意味がありません。その感情は、私たちの体が生み出しているものだからです。

 その感情を抱くことを自分に許せば、秩序立った形でその感情が生まれて、力が湧いてきたように感じられます。そうなれば、私たちはもはや犠牲者ではなくなります。

 秩序立った形で感情が生まれる?

 そうです。人は、自分が抱いている感情を感じないよう努める場合があります。それは、感情をギャングのようなものと考えていることが原因です。悲しいと感じて、そのような感情を抱けば、その悲しみの感情がずっと心の中に居座ると思い込んでいる。否定的な感情に心を占拠されると恐れているのです。

 でも、実際は違う。感情は人の中を通り過ぎていくものです。人がある感情を抱けば、その感情は外に出ていきます。そして、人はまた別の新しい感情を抱く。別に、感情がギャングのように人を支配したりはしないのです。

 いまの状況下で、悲しみを感じるべきでないなどと考えるのはばかげています。悲しむことを自分に許し、前に進みましょう。


HBR.org原文:That Discomfort You're Feeling Is Grief, March 23, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
危機の渦中でレジリエンスを高める3つの戦略
危機のいまだからこそ、リーダーには瞑想が必要だ
恐ろしいニュースが拡散する状況で部下を安心させる方法