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ビジネスパーソンは生産性のとりこだ。集中力を研ぎ澄まし、時間内で「やることリスト」を一つでも多く消化する方法を模索している。ただし、それによって失われるものがある。創造性だ。筆者は、創造性と生産性は対極の状態から生まれるものだと指摘し、生産性の追求が度を越すと創造性を殺してしまうと警鐘を鳴らす。


「生産的な1日」と聞いたら、あなたはどんな1日を思い描くだろう。早起きをして、「やることリスト」の項目を次々とこなし、バターコーヒー(コーヒーにバターとココナツミルクを加えたパワードリンク)を3倍がぶ飲みして大きな仕事に取りかかる、といった具合だろうか。

 では、「クリエイティブな1日」はどうだろう。じっくり考え事をしたり、遠い目をしながら、ペンのノックをカチリカチリと鳴らしながら何かを思い描く――。

 いくらかバリエーションはあるかもしれないが、「生産的な1日」と「クリエイティブな1日」を、まったく同じように思い描く人は、あまりいないだろう。そして残念ながら、私たちは2つのどちらかを選ばなくてはならない状況をつくり上げてきた

 現代の職場は、生産性のとりこだ。私たちは、著名人が書いた生産性を上げるコツをむさぼり読み、チームのテンションを上げる方法を真似ようとする。集中力を研ぎ澄ますために、「時間をいくつかのブロックに分けろ」とか「スマホの電源を切れ」とか「静寂な場所に行け」といったアドバイスを次々とされる。

 だが、あくなき生産性の追求は、現代の職場で最も重要な能力の一つ、すなわち創造性を傷つける。私たちはみな、将来的には、機械学習と人工知能(AI)によって、型にはまった仕事は失われるのだから、人間が提供できる最も価値ある能力は創意工夫と独創性だと、さんざん警告されてきたのに。

 では、創造性はどのように生み出せばいいのか。特に「やることリスト」をこなすことに私たちの心のギアが入っているとき、どうすればいいのか。

 政治ドラマ『ザ・ホワイトハウス』や、映画『マネーボール』や『ソーシャル・ネットワーク』など、数多くのヒット作を生み出してきた脚本家のアーロン・ソーキンは、1日に6回シャワーを浴びると、『ハリウッド・レポーター』誌に語っている

「別に潔癖症というわけじゃないんだ」と、ソーキンは言う。ただ、書くことに行き詰まったら、シャワーを浴びて、服を着替えてから、再び取り組むことにしているのだという。なぜなら彼の場合、最高のアイデアが浮かぶのは、猛烈に集中しているときではなく、シャワーを浴びているときであることに気づいたからだ。

 だからソーキンは、仕事部屋にシャワールームをつくった。彼はそれを、オリジナリティのあるアイデアを生み出すための、「やり直し」のプロセスだと語っている。

 1日にシャワーを6回も浴びるなんて異常だと、思う人もいるかもしれない。もちろん、ほとんどの人にとっては真似できないことであるのは間違いない。ただ、ソーキンの話は、創造性について筆者が聞いた最高のアドバイスを思い起こさせてくれた。