有力メーカーとグローバル市場で戦うため
独自の情報システム構築と業務改革が急務

 TELがフィールドソリューション事業の強化・拡大およびOne TELの業務改革を進める上で、実はかつて大きなチャンスがあった。2013年に「世紀の日米統合」と業界を驚かせた米アプライドマテリアルズとの経営統合だ。「アプライドマテリアルズが導入していたERPとCRMをTEL側でも全面的に採用し、業務改革を進めることを前提として準備をしていました」と春原氏は振り返る。ところが米国司法省との間で見解の隔たりがあり2015年に断念することになった。

 TELの置かれた立場は一転する。再び世界の有力メーカーとこれまで通り競っていかなければならない。「アプライドマテリアルズは、装置ごとの売上や利益を把握しデータドリブンの迅速な経営判断を行っており、彼らとグローバル市場で肩を並べて戦っていくためには、TEL独自の情報武装が急務となりました」と春原氏は語る。

東京エレクトロン
FSBU フィールドソリューション二部
営業支援グループ
グループリーダー 山本 江美氏

 こうして仕切り直しを行う形で、TELが2016年にフィールドソリューション事業のコアとなるサービスCRM(顧客リレーションシップ管理)の基盤として導入を始めたのが、日本マイクロソフトの「Dynamics 365」である。TELがもともと導入していたOffice 365との親和性や多様なサービス業務に適用できる汎用性の高さが選定の決め手となった。

 同システムの導入を主導しているTEL FSBU フィールドソリューション二部 営業支援グループ グループリーダーの山本江美氏は、「現在、Dynamics 365のワークオーダー(作業指示)機能を使って、作業現場で発生するさまざまな作業情報をサービスCRMに集約している過程にあり、2020年度内に全世界の現地法人への展開を終える計画です」と語る。

「以前はタスクの登録も部品の手配も事業部ごとの個別システムを介して行わなければなりませんでしたが、サービスCRMではすべてのデータ入力が1カ所で済みます。お客様への報告や上長によるチェックも大幅に省力化され、バックエンドの間接業務については10~30%の工数削減が見込まれています」と山本氏は強調する。

 サービスCRMに全世界の作業情報が集約された後は、それを基に発生しているトラブル情報を体系立てて整理して管理し、日本、中国、米国に置いたトータルサポートセンターと現場がグローバルで共通化されたプロセスと同じ情報をもって運用することによって、「装置が止まった」「求めているスペックが出ない」などのお客様の課題に対して即時に適切なソリューションを提供できるようになるのだ。