在宅勤務は心の健康にどのような影響を与えますか? スタッフが集中力ややる気を維持し、かつ満足できるようにするには、どうすればいいのでしょうか?

 在宅勤務になると、会社でのランダムな井戸端会議や、コーヒーを飲みながらおしゃべりをする時間がなくなります。実は、こうした雑談は、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与える重要な要素です。

 では、それをバーチャルでも可能にするにはどうすればいいか。これについては、テキストメッセージを頻繁にやり取りするグループもあれば、電話会議やビデオ会議を開くグループもあるでしょう。ワッツアップやウィーチャット、バイバーといったチャットアプリのほうが使いやすい、という人もいるかもしれません。

 マネジャーは、スタッフの心理的安定性のためにも、こうした連絡方法を奨励すべきです。こうしたことは個人ベースでは有機的に決められないので、マネジャーが指示する必要があります。

 もう1つアドバイスしたいのは、体を動かすこと。精神的なウェルビーイングのためには、体のエクササイイズがとても重要です。

 良好なリモートワーク文化をつくるために、リーダーが実行すべき重要なポイントを3つ挙げてください。

 アマゾンには英語だけでも、バーチャルワークや、メンバーが幅広い地域に散らばっているチームの管理方法に関する本が1万冊以上あります。なぜか。それは、これが非常に難しいことで、マネジャーはそのために積極的に努力しなければならないからです。

 そのための重要なポイントとしては、第1に、自分は全体の状況を把握しているという意識を、スタッフが常に持てるようにすることです。

 組織全体で起きていることがわからないと、在宅スタッフは、自分が母船から下ろされてしまった気分になります。会社や、クライアントや、共通目標はどうなったのだろうかと考えあぐねる。こうしたことを伝えるのはとても重要です。だから、これまで以上にメールを送って、情報をシェアしましょう。

 第2に、在宅勤務になると、業績目標などの成績が気になるようになります。心配することはないと、マネジャーはスタッフを安心させる必要がある。

 第3に、「自分は上司のコンタクトが乏しいのではないか」と思わせないこと。自宅にいると悪い想像が膨らむものです。だからマネジャーは、全員にとって等しく連絡しやすい存在でなくてはいけません。

 グループでミーティングをするときは、全員を参加させることを心がけ、発言時間のバランスを取ること。全員が自分の声を聞いてもらい、注目してもらえたと思えるようにすることが重要です。

 在宅勤務は生産性にどのような影響を与えますか?

 在宅勤務のために生産性が必ず下がるということはありません。従来のレベルを維持することができるし、むしろ高めることができます。なにしろ、通勤とオフィスでの雑務がなくなるのだから。

 もちろん、自宅にはパートナーや子どもがいる場合があるので、この点は調整が必要です。また、直接顔を合わせて話し合わないと、解決しにくい問題もある。これはリモートワークでは時間を取る可能性がありますが、それ以外の点では生産性が落ちるとは思いません。メンバーが離れた場所にいても、チームの生産性は変わらないことを示す強力な証拠が存在します。

 社会的距離戦略が当面続いた場合、スタッフの生産性やパフォーマンスはどう評価されるのでしょうか?

 すべてのマネジャーに「従業員を信頼しなさい」と言いたいです。文豪アーネスト・ヘミングウェイは、こう言っています。「誰かを信頼できるかどうかを知る最もいい方法は、まず信頼してみることだ」

 リモートワークでは、部下たちが何をしているか覗き見ることはできません。ただ、適切な手段とタスクを与えて、これまでと同じように声をかけ、期待通りの仕事をしていることを祈ろうではありませんか。

 そのプロセスをチェックすることはできないので、スタッフの評価は結果ベースにならざるをえないでしょう。ただし、在宅勤務になったからといって、部下たちが与えられた仕事をしなくなると考えるべき理由は存在しません。

 リモートワーク自体は、かなり前から存在します。それにいまは、仕事やコラボレーションに必要なテクノロジーが十分そろっています。会社のソーシャルメディアを使えば、データを蓄積したり、1人対多数で会話をしたり、ベストプラクティスを共有したり、学ぶことができるでしょう。