●朝一番に瞑想をする

 先行きが不透明なときは、朝起きたらまず、メールやニュースをチェックしたいと思いがちだ。だが、それをやると思考が反応モードになり、次から次へとネガティブなニュースに気を取られるようになる。そうではなく、1日を数分間の瞑想で始めると、心を中庸にし、恐怖に囚われていた思考を落ち着かせることができる。

 そのための方法はたくさんある。ベッドに座って、インサイトタイマー(Insight Timer)などのアプリで、瞑想ガイドを聞きながらやるのもいい。私の場合、起床後にコーヒーを1杯飲んで、クッションか椅子に深く腰をかけて、シンプルなマインドフルネス瞑想をするのが最も効果的だとわかった。

 しばらく続けていると、オープンな心と、それまでは気づかなかった可能性への気づきで1日が始まることが感じられるだろう。米国に瞑想を広めた禅僧・鈴木俊隆はこれを、「ビギナーズ・マインド(初心)」と呼んだ。すると、思考が静寂になり、心が開かれて、今の現実が評価や先入観なく見えるようになる。

 瞑想を熱心に実践するセールスフォースCEOのマーク・ベニオフは、その効果を次のように述べている。「初心は、一歩下がることを私に教えてくれる。すると、それまでではなく、いま、求められているものを創造することができる。未来は過去と等しいものではないとわかる。自分がいま、この瞬間に存在しなくてはいけないことがわかる」

 ●ミーティングを数分間の瞑想で始める

 現在のような危機のとき、人間は行動を起こす傾向にある。

 それは優れた直感の場合もある。だが、ミーティング(オンラインの場合を含む)の最初に少しばかり時間を取り、「いま」に心を置き、自分の感情に気づいたうえでミーティングを始めると、他人のアイデアにもっとオープンに耳を傾け、チームがより思慮深く問題解決に取り組めるようになる。

 そんなことは、まったく新しい経験だというチームもあるだろう。「ちょっとベタベタして気持ち悪い」と感じる人もいるかもしれない。

 だから最初に、全員が「いま」に心を置き、ミーティングに意識を集中してもらう必要があると伝えよう。そのうえで、「1分だけ自分の呼吸に集中する」という実験を提案しよう。途中で誰かの気が散っているようなら、「意識を呼吸に戻して」と提案する。

 ほとんどの初心者は、自分がいかに意識散漫か、そして1分間「いま」に集中することがいかに難しいかに気がついて驚く。そしてそのほとんどが、自分の心がより静寂で、「いま」に置かれていることに気づく。こうしてその1分間が、ミーティングの性質を変える。

 あるエグゼクティブは、その効果を次のように表現していた。「この種の会議では、お互いに話すだけのことが多いが、出席者はもっといまに集中し、相手の話をよく聞き、相手から学ぶにことに意欲を示した」

 ●非生産的な思考パターンに陥ったときは一歩下がる

 1日中不安を感じるなら、深呼吸をして、自分の思考を観察する時間を持とう。

 あなたは「いま」ではなく、未来のシナリオを考えて、妄想の世界に陥っていた可能性が高い。シナリオを考えることは重要だが、「いま」に心を置いて、静かな心で事実を検討し、妄想に引きずられないようにすることが重要だ。

 具体的には、椅子に深く腰を下ろし、目を閉じ、息を吸って吐くお腹の動きに意識を集中する。するとやがて、自分の思考が静寂を取り戻していることに気づくだろう。もっといまを感じ、生きていることを実感できる。そうなると、可能性やチャンスが見えてくる。

 瞑想がもたらす最大の利点の一つは、生存本能中心の思考から抜け出し、人に思いやりを持って接することができるようになることだ。これは重要である。というのも、人間は恐怖を覚えると自己中心的になり、他人の視点を受け入れにくくなることが、研究で示されているからだ。

 だが、あなたの組織の内外の人はいま、苦悩している。困難ないまこそ、リーダーは思いやりと気配りを示すチャンスであり、自分のチームと組織に、リーダーとしての資質を示すチャンスなのだ。


HBR.org原文:Why Leaders Need Meditation Now More Than Ever, March 22, 2020.


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