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新型コロナウイルス感染症のパンデミックが進行し、多くの人がストレスを感じて、怯えている。人間は脅威を感知すると自己の生存を最優先するために、他人に思いやりを示したり、共感したりする能力が低下する。だが、そこで失われる機能はすべて、リーダーには必要な資質である。筆者は、危機の渦中で思いやりや気配りを維持するうえで、瞑想が大きな助けになるという。本稿では、それを効果的に実践する3つのヒントを紹介する。


 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が猛烈な勢いで進んでいる。感染リスクが高まり、株価は急落し、経済はグローバルリセッション(世界規模の景気後退)の瀬戸際にあり、あらゆる企業が不透明な未来に直面している。多くの人がこの状況に圧倒され、ストレスを感じ、怯えている。

 これは正常な反応だ。人間は脅威を感知し、視野が狭まると、脳の生存本能を司る部分(主に扁桃体)が作動する。それは脅威が目前にあるときは助けになるが、思考を非生産的にする可能性がある。すなわち、最悪のシナリオに囚われるか、脅威を否定する可能性が高まる。

 また、脳の中でも、クリエイティブで分析的な思考を可能にする部分へのアクセスが低下する。そして他人に思いやりを示し、耳を傾け、共感する能力が低下する。

 しかしそれは、危機のとき、まさにリーダーに必要とされる資質である。最善の選択肢を検討し、みずからの思い込みを疑い、新しいクリエイティブなやり方を考案し、かつ冷静さを維持するためには、脳の一部ではなく全部を働かせる必要がある。従業員と顧客とビジネスパートナーの懸念に真剣に耳を傾けて、彼らを安心させるためには、それが不可欠なのだ。

 このようなとき、瞑想は大きな助けになる。瞑想を実践すると、不安を低下させ扁桃体を落ち着かせクリエイティブな思考をし人の視点を共感的に受け入れる能力が高まる

 早い時期から瞑想を取り入れたスティーブ・ジョブズは、みずからの経験を次のように語っている。「物事がよりクリアに見え始め、『いま』にもっと集中できるようになる。心が落ち着き、現在の中に大きな広がりが見えてくる。それまでよりも、はるかに多くのことが見えてくる」

 筆者は企業エグゼクティブと瞑想をしてきた経験から、危機のとき助けになる3つのヒントを発見した。