こうした心理的な要因に直面したとき、どうすれば良質な決断を下せるのか。「早く動かないと」という誘惑に抵抗する最善の方法は、落ち着くことだ。パニックを起こすと、脅威を回避するために、いますぐ行動を起こしたくなる。だが、潜在的なパンデミックに直面したとき、そうした行動のほとんどは賢明ではない。

 心を落ち着かせれば、データを合理的に検討したうえで結論を下すことができる。これはキース・スタノビッチとリチャード・ウエストの唱える、二重の思考構造における「システム2」思考だ。

 現在、新型コロナウイルスとそれへの対処法について、多くの情報が存在する。個人およびビジネス上の重要な決断を下す前に、それらを時間をかけてよく読み、消化することだ。

 これから数週間から数ヵ月の間に、私たちが取るべき行動はたくさんある。しかし行動を取る決断は、熟慮と、冷静なデータの分析、そして専門家との話し合いに基づき下すべきだ。ニュースの見出しやツイートに反応して下すべきではない。

 行動を起こさないという決断でも、同じことが言える。より多くのデータが得られるまで、じっと待っていたほうがいいときがある。

 スタノビッチとウェストの「システム1」思考は、現在のモチベーション状態に対する迅速かつ直感的な理由づけである。こうした迅速な判断は、総じて行動を起こす方向にバイアスがかかっているため、心を落ち着けて、それが本当に正しい行動かどうか考える必要がある。

 こうしたことを踏まえると、パンデミックのような存続上の危機が(比較的)ゆっくりと進行しているときは、勘で動くよりも、時間をかけて決断を下すほうがいい。迅速な行動は、一時的に不安を小さくしてくれるかもしれないが、実のところ問題を解決するよりも、さらなる問題を生む可能性が高いのだ。


HBR.org原文:Slow Down to Make Better Decisions in a Crisis, March 15, 2020.


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