●ビジネスのしやすさ

 デジタル化によって実現されるインドの政策は、世界銀行が発表するビジネスのしやすさ指数でのインド躍進に貢献している。4年前の142位から現在では77位と、65も跳ね上がっている(本稿掲載時にはさらに上がり64位)。インドは過去2年間でビジネス環境が最も向上した10ヵ国に入っており、この中で経済大国としては唯一の国である。

 この指数の中で最も向上した項目は、「建設許可の取得しやすさ」と「越境貿易のしさすさ」であり、両方ともデジタル化とそれに伴う構造改革によって変革がなされてきた。ビジネスの開業と清算の手続きは、今日ではかつてなくシンプルだ。これは、インドがスタートアップのエコシステムとして世界第3の規模となっていることからも明らかである。

 インドのデジタルトランスフォーメーションにおけるもう1つの重要な側面は、あらゆる規模の事業者の間で、デジタルの技術と決済手段の普及が広がっていることだ。インドは現在、携帯電話の数で世界第2位。スマートフォンのエントリーモデルは最安で20ドルにまで下がっているため、経済階級を問わず導入できる。

 モバイル機器メーカーはこのチャンスを認識し、ものにした。5年前、インドにはモバイル機器の製造工場は2つのみで、国内の携帯電話の50%以上を輸入品に依存していた。今日、国内には127の製造工場があり、うち世界最大級の1つはニューデリーから車で1時間の場所にある。

 モバイルデータ通信のコストも著しく下がり、インド国民の毎月1ギガ当たりの料金は約20セント程度である。国内で利用できるコンテンツと動画が増えたことで、データ通信が大量に消費されるようになったが、モバイル機器を通じたさまざま消費者取引とビジネスサービスも増えている。