そのデータは何を物語っているのか

 データモデルは人間と同じで、最も手に入りやすい情報に基づき決定を下す傾向がある。だが、あなたが持っていないデータは、あなたが持っているデータと同じくらい、意思決定に大きな影響を与える場合がある。私たちはこの種の利用可能性バイアスを、人間の決断と関連づけがちだが、実のところそれは、アルゴリズムの設計者が無意識のうちにシステムに教えこんでいたものであることが多い。

 たとえば金融業界では、大量の信用履歴を持つ人は、そうでない人よりも信用供与を認められやすい。信用履歴が乏しい人は、車を購入したり、アパートを借りたり、クレジットカードをつくったりするのが難しいことがある(筆者の一人であるサテルは、15年間の海外暮らしの後に米国に帰国したとき、まさにこの問題を経験した)。

 しかし信用履歴が乏しい人は、必ずしも信用リスクが高いことを意味しない。企業はしばしば、利益をもたらしてくれる可能性の高い顧客を、その人に関するデータがないという理由だけで追い返してしまう。

 筆者のホーラーが勤務するエクスペリアン・データラボズは最近、「ブースト(Boost)」プログラムによって、この問題に対処し始めた。これは通信費や光熱費といった定期的な支払いに基づき、消費者の信用スコアを上げることを可能にするプログラムだ。

 したがって、自分が使用しているデータモデルに欠けている部分はないか、常に厳しい質問を突きつけることが重要だ。もしあなたが、データ測定を管理する立場にあるなら、一番集めやすいデータではなく、現実を反映するデータを集めているようにする必要がある。

データを使ってプロダクトやビジネスモデルをどう改善するか?

 私たちは過去10年にわたり、データがいかにビジネスを効率化できるかを学んできた。データを賢く使うと、プロセスを自動化し、マシンの保守整備が必要な時期を予測し、顧客の希望にうまく応えることが可能になる。アマゾンの当日配達を可能にしているのは、データなのだ。

 データは、プロダクトそのものの重要な部分になっている場合もある。有名な例を一つ挙げると、ネットフリックスは昔からスマート・アナリティクスを使って、低コストでコンテンツ編成を改善してきた。それは同社が、ディズニーやワーナーメディアといったライバルに対して優位を維持するうえで、重要な役割を果たしてきた。

 だが、本当にエキサイティングなのは、データを使って、まったく異なるビジネスモデルを考案するときだろう。エクスペリアンは、クラウドを利用して、加工済みデータを信用報告書の形で届けるだけのサービスから、報告書の基礎となった詳細なデータにリアルタイムでアクセスできるサービスにシフトした。これはささやかな変更に見えるかもしれないが、いまやエクスペリアンの中で最速の成長を遂げているサービスの一つとなっている。

 データは21世紀の石油だと言われるが、石油よりもはるかに価値がある。私たちはデータをパッシブ資産以上のものとして扱う必要がある。賢く使えば、データは真の競争優位をもたらしてくれるし、ビジネスをまったく新しい方向に導いてくれる。

 ただしそのためには、単に答えを求めるだけでは不十分だ。これまでとは違う質問を投げかけられなければならない。


HBR.org原文:Data-Driven Decisions Start with These 4 Questions, February 11, 2020.


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